静岡市(図1)は2017年4月から、市有施設における電力の地産地消の取り組みを開始した。地元の地域新電力である鈴与商事(静岡市)に、市の清掃工場の処理時の発電電力を売電するとともに、同社から市有施設で使う電力を購入している。

図1●静岡市街。太平洋から南アルプス南部まで市域が広く、富士山の眺望もよい
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(出所:静岡市)

 清掃工場の処理時の発電は、ゴミ焼却発電や廃棄物発電などと呼ばれる。清掃工場において燃えるゴミを焼却し、蒸気でタービンを回して発電する仕組みだ。

一括契約と「三方良し」

 静岡市が2017年4月に始めた電力の地産地消は、地域新電力の鈴与商事との間での、電力の売買に関する一括契約に特徴がある。この契約に基づき、仮想発電所(バーチャルパワープラント:VVP)を構成することで、電力の地産地消に加えて、市域内の経済の循環や活性化につなげ、同市が目指す「三方良し」も実現する狙いがある。

 VPPとは、エネルギーの需要や供給を正確に予測・監視した上で、その地域にある複数の発電設備や蓄電設備を適切に制御して、あたかも1つの発電所のように制御する手法を指す。また、非常用に、静岡市域全体で最大で携帯電話約16万台分の電力を確保し、防災機能を強化する。

 こうした電力の地産地消とVPPを組み合わせた取り組みを、国の補助制度に頼らず、地方自治体が独自に民間企業と連携して実行するのは珍しい。

 静岡市によると、地域新電力の鈴与商事にとって、この取り組みは事業性で容易ではない面もあるのではないかという。それでも取り組むところに、地域を代表する企業としての心意気なのかもしれない。静岡市の公募には、同社と静岡ガスの2社が応募し、鈴与商事の案が選ばれた。

 契約期間は2017年4月から2024年3月までの7年間。その間の年間の電力調達量は約1億5000万kWh、7年間で合計9億6300万kWhを見込んでいる。この電力を静岡市が鈴与商事から購入することで、従来の市の電力調達コストに比べて年間で約1億2500万円、7年間の総額で約8億8000万円の削減を目指す(図2)。

図2●新たな試みの概要
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(出所:静岡市)