千葉県富里市はアジア航測、綜合警備保障との3者で合同会社を設立。市が管理する施設の電気料金削減を図りつつ、削減分を地域の課題解決に当てる事業を進めている。新しい公民連携の取り組みとして注目されている中、初年度は、削減分で団地の一部の道路で修復工事を実施した。電気料金の支払い業務をとりまとめたことによる業務効率化や、道路管理における市職員の負担軽減というメリットにもつながっている。

 千葉県富里市は県の北部中央に位置している。もともとは農業地域で、1970年代に東関東自動車道富里インターチェンジや新東京国際空港(現・成田国際空港)が開設されるとベッドタウン化が進んだ。市内の起伏ある台地には、およそ20の住宅団地が点在する。2022年3月、その1つである南山団地の一部の道路で修復工事が行われた。実施したのは、富里市がアジア航測、綜合警備保障(ALSOK)と設立した合同会社「とみさとエナジー」だ。

南山団地の工事前の路面。劣化が進んでいた(写真:とみさとエナジー)
南山団地の工事前の路面。劣化が進んでいた(写真:とみさとエナジー)
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工事後の南山団地の道路(写真:とみさとエナジー)
工事後の南山団地の道路(写真:とみさとエナジー)
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 とみさとエナジーは、150万円の資本金を3者が均等に分担して2021年1月に誕生した。主要な業務は、市の公共施設の電気料金を削減し、生み出した差額をまちづくりに活用することだ。「市の電気料金をとにかく下げたいということを第一の目的とし、そのうえで削減した利益を元にまちづくりに還元していく」と富里市の成毛貴洋・企画財政部経営戦略課主査は説明する。

 同社は21年4月から電気料金削減の事業に着手し、21年9月からその利益を活用した道路管理サービスを始めた。道路のパトロールおよび路面調査と修繕工事を一体的に行う道路管理サービスの実証実験という位置付けだ。初年度の道路補修は、冒頭で紹介した南山団地で行った。

 市庁舎、小中学校、福祉センター、運動場、道路照明といった市の管轄施設全体にかかる年間約1億2000万円の電気料金を1800万円ほど削減し、このうち約1100万円を地域の課題解決に充てるのが当初の想定だった。実際には電気料金の高騰や夏の暑さに伴う電気使用量の増加などの変動要因が大きく単純に比較できない状況になっているが、21年度は市のとみさとエナジーへの支払額がおよそ1億1000万円、このうち道路管理サービスに535万円を用いた形になった。