利用率や学習意欲などの指標で高い評価

 CFCとキズキは2017年10月に事業立ち上げを発表してクラウド・ファンディングを開始。2018年1月から利用者の募集・審査を行い、2018年4月にクーポンの配布を始めた。クラウド・ファンディングの実施は「資金調達そのもの以上に、社会へメッセージを発信する意味が大きかった。想定を上回る寄付があり、我々も勇気づけられた。同時に、事業に共感する人が多いことを自治体へもアピールできた」(CFC今井代表)。

 2018年度の事業は、生活保護の受給世帯に限らず、就学援助(小・中学校での給食費や学用品費などを援助する制度)の受給世帯も対象とした。生活保護世帯は福祉部、就学援助世帯は教育委員会と、自治体では管轄が分かれるが、CFCとキズキはケースワーカーと学校の両ルートから対象者へ周知した。

 2018年9月の中間評価(東洋大学社会学部社会福祉学科の岩田千亜紀助教が担当)によれば、クーポン利用者は54人。これはクーポン提供対象とした人数の約3割に相当する。特に生活保護世帯の捕捉率は85%と高かった。

スタディクーポン・イニシアティブの中間評価報告書より。生活保護世帯の捕捉率が高い
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 キズキ安田代表は「(自治体が民間事業者やNPOに委託して開設する)無料学習塾では、捕捉率が低いことが課題になっている。今回のクーポン事業は、自分に合った教育を選べる点が利用拡大につながったとみられる」と分析する。「無料塾もすばらしい支援の形だ。ただし、無料塾しか選べないとなると、生活困窮世帯の子どもに『友達が通っている塾に自分は通えない』という精神的な苦痛を与えることになる。社会福祉は、利用者の多様なニーズに応えられてこそ、本当に効果のある施策になる」。

 CFC今井代表も「本事業でクーポン取り扱いの登録をした地域の教育事業者は81教室にも上る。理念に共感し、個人塾から大手塾、家庭教師や通信教育まで、幅広い登録事業者が集まったことは喜ばしい。子どもたちにとっても選択肢が増えた。自分の学力や生活状況に適した学校外教育機関を選ぶことができるので、利便性が高く、子どもたちからも有効にクーポンを活用できたという声があった」と手ごたえを語る。

スタディクーポン・イニシアティブの中間評価報告書より。アンケートの結果、子どもたちの学習意欲が向上していることがわかった
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 中間評価によれば、子どもの1日当たりの平均学習時間は、制度利用前の78分に対して利用後は113分まで増加し、中学3年生の全国平均(109分)を上回った。また、アンケート調査では、8割弱の子どもたちが、クーポン提供後は学習に対して「前向きになった/どちらかというと前向きになった」と回答している。保護者もおおむね制度を歓迎しており、「塾選びなどにもアドバイスがもらえてよかった」といった意見が寄せられた。