サポート対象拡大などが今後の課題に

 2019年度の事業は、こうした評価を受けて、渋谷区が公的資金を投入して行うことを決定。事業者を公募し、CFCとキズキが選ばれた。区は事業者と協力して対象者への周知などを行いながら、クーポン提供が始まれば事業者から月次報告を受けて、事業の効果をモニタしていくという。

 報告で重視するポイントは「利用実績および子どもと塾のマッチング状況。子どもたちが塾を休みがちになったりせず、クーポンが適切に使われているかどうか。また、学力を含めて、その子に合った塾が選ばれ、学習効果が上がっているかどうかなどに注目したい」(金子氏)。対象者(区内の生活保護世帯の中学2年生・3年生)全員分の予算が確保されているが、クーポン提供に当たっては進学に向けた計画の作成・提出を要件とする考えだ。

 今後の課題は、支援の対象を広げること。「昨年度の事業では就学援助世帯もフォローした結果、いじめや養育者の疾病など、抱える課題が明らかになる家庭もあった。区の事業として初年度は生活保護世帯に限ったが、生活保護世帯以外の家庭への支援についても今年度の実施状況などを踏まえて、今後検討していきたい」(金子氏)との考えだ。

 事業者側も今後の展望を持っている。「今後は大学生ボランティアや職員によるコーディネート機能を強化し、子どもと教育機関の適切なマッチングに努めたい。また、事業を通じて不登校や保護者の疾病といった“困りごと”が見つかった家庭を適切なサポートへつなぐため、行政の福祉機関との連携も強化していきたい。現在、クーポンを紙券から電子化することを検討しているが、それによって節約できる資源(印刷費用や人件費など)を、これらの機能の強化に充てたい。事業の改善を図りながら、引き続き、この取り組みを全国に広げていく」(CFC今井代表)。

 また、キズキ安田代表は、「佐賀県上峰町や千葉県千葉市などでも同様の取り組みが進んでいる。ただし、経済的に余裕のない自治体では取り組みを始めたくても始められない。必要なところに国が援助する仕組みが求められる」との見解を示した。

 上峰町では、中学1年生と3年生を対象としたスタディクーポン事業を2019年度に開始。千葉市もひとり親家庭かつ生活保護世帯の小学5、6年生の児童を対象にした「教育バウチャー事業」を2019年度に始めた。いずれもCFCが業務委託を受けている。

■訂正履歴
2ページ目の今井氏の写真キャプションにおける「2015年度から千葉県南房総市の『学校外教育サービス利用助成事業』を受託しているが」という記述は誤りでした。また、3ページ目本文に「ケアワーカーと学校の両ルートから対象者へ周知した」とありましたが正しくはケアワーカーではなくケースワーカーでした。お詫び申し上げます。記事は修正済です。 [2019/7/1 18:05]