広場の設計にも創造性引き出す意図

 MONT PARKはアーチ状の構造物を配置した「アーチ広場」と、はだしで遊べる「芝生広場」、芝生のステージを設けた「イベント広場」から成る。OZU ROOFとの間には、開閉可能なフェンスを設置した。イベントの際には両スペースを一体的に使うことも可能という。

MONTO PARK内の芝生広場。この人工芝は、市内の繊維メーカーが開発したもの。泉大津市は、毛布の国内生産日本一を誇る(写真:赤坂 麻実)
MONTO PARK内の芝生広場。この人工芝は、市内の繊維メーカーが開発したもの。泉大津市は、毛布の国内生産日本一を誇る(写真:赤坂 麻実)
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南海電鉄の貝谷力氏(右)と松本新氏(左)。「数百メートルにわたって続く高架下のような土地は他にないので、このMONTO PARK、OZU ROOFを皮切りに、その使い方の面白さを追求していきたい」(松本氏)と語る(写真:赤坂 麻実)
南海電鉄の貝谷力氏(右)と松本新氏(左)。「数百メートルにわたって続く高架下のような土地は他にないので、このMONTO PARK、OZU ROOFを皮切りに、その使い方の面白さを追求していきたい」(松本氏)と語る(写真:赤坂 麻実)
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ジオ-グラフィック・デザイン・ラボの前田茂樹代表。泉大津市とは2021年に移転開設予定の市立図書館プロジェクトで関わりを持った(写真:赤坂 麻実)
ジオ-グラフィック・デザイン・ラボの前田茂樹代表。泉大津市とは2021年に移転開設予定の市立図書館プロジェクトで関わりを持った(写真:赤坂 麻実)
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 南海電鉄は、広場の設計においても、アビリティタウン構想の拠点としてのあり方を意識した。同社都市創造本部PM事業部課長の貝谷力氏(当時。現・グループ統括室広告宣伝部課長)は「使い方の決まった遊具などを配置するのではなく、子どもたちが自ら遊び方を考え出せるような場所にしたかった」と話す。

 南海電鉄から設計を請け負ったジオ-グラフィック・デザイン・ラボ(大阪市中央区)の前田茂樹代表は、設計意図を次のように語る。「市と南海電鉄の考えを受けて、実験的な遊具(アーチ状の構造物)を設置することにした。道行く人に、この場所が『変わった』と印象づけることも大切だと考え、構造物はフェンスより背の高いもの(2.5m)にし、緑を基調に配色した」。

 高架の柱は子どもたちにケガがないように樹脂で被覆している。「森のような空間で、子どもたちがかくれんぼなど様々な遊びを楽しめる。柱をただ柱と見れば、公園にはジャマな存在かもしれないが、木立に見立てれば魅力的な空間に変わる。想像力しだいで、高架下の可能性を広げられる場所になった」(前田氏)。

 前田氏は、駅前商業施設内へ移転することが決まった泉大津市立図書館の設計プロポーザルの審査委員を務めており、図書館で随時開かれる市民ワークショップにも参加してきた。同氏は「ワークショップで高架下施設の話をしたところ、本の読み聞かせや(子供が会社経営を体験する)子ども商店プロジェクトなどで利用してみたいとの反響があった。また、気軽に腰を下ろせる段差があると人が集いやすいなど、設計に関する意見も聞かれた」と地元密着で進めた設計過程を振り返る。

MONTO PARK内のアーチ広場。多様なアクティビティを誘発する目的で、アーチ状の構造物が設置されている(写真:日経BP)
MONTO PARK内のアーチ広場。多様なアクティビティを誘発する目的で、アーチ状の構造物が設置されている(写真:日経BP)
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MONTO PARKは10時から18時まで開放。日没後は照明が点灯する(写真:日経BP)
MONTO PARKは10時から18時まで開放。日没後は照明が点灯する(写真:日経BP)
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 MONTO PARKは定休の木曜日を除き、毎日10時から18時まで開放され、地域の子どもたちの遊び場になっている。南海電鉄都市創造本部施設部課長補佐(当時。現・開発事業部課長補佐)の松本新氏は「思った以上に様々な遊び方をしている姿が見られる。高架に十分な高さがあるので、日光がふんだんに入って明るい点もよかったのではないか。構造物の緑色は黒板塗料なので、イベントの際にはチョークで落書きを楽しんでもらうことも想定している。今後、市民の皆さんにこの場をどう活用してもらえるのか、興味深く見守っている」とした。

 南出市長も広場を使った市民活動に期待を寄せている。「高架下は屋根付きの屋外空間。天候に左右されずにイベントの予定が立つ利点がある。例えば、毎週土曜にはマルシェが開かれるなど、定期的な催しが根付けば、この場所の存在が広く市民に知られるようになるだろう」と話す。

 都市政策部の山野氏によれば「イベントでの施設利用料は、例えばキッチンカーを1日(数時間)出店して300円など、低価格に抑える方向」だという。