地産地消のコミュニティカフェ、中学生のアイデアで駄菓子売り場も

「みどり to ゆかり日の里」を運営するGrandjourの吉武麻子代表理事(写真:萩原詩子)
「みどり to ゆかり日の里」を運営するGrandjourの吉武麻子代表理事(写真:萩原詩子)
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 同じく1階に入居するコミュニティカフェ「みどり to ゆかり日の里」を運営するのは、前述の「サードベース」を拠点のひとつとして起業支援を行っていた一般社団法人Grandjour(グランジュール)の吉武麻子代表理事だ。サードベースは19年に、建物を大家に返還するためクローズした。「みどり to ゆかり 日の里」は、新たに地域に開いた支援拠点でもある。

 「みどり to ゆかり 日の里」のメニューは、材料も調味料も地元産。さらに、近隣の飲食店を紹介するため、各店の名物のコロッケや唐揚げなども採り入れている。「地元の人にこそ、地元の美味しいものを伝えたい。住人が自慢するまちになってほしい」と吉武氏。

 店の入り口近くには駄菓子のコーナーを設けた。これは、吉田氏と今長谷氏の総合学習で、中学生から出たアイデアだ。「駄菓子があれば小さな子どももカフェに来られるし、自分たちも遊んであげられる、と言ってくれたそうです」(吉武氏)。中学生向きのメニューとして、オレンジジュースも用意している。

 2021年5月の開業から1カ月足らずで、94歳の高齢女性や、重度障害を持つ18歳の女性が「日中の居場所が欲しい」と訪ねてきてくれたという。今後、コロナ禍が収束して、自由に酒類を提供できるようになれば、「ひのさとブリュワリー」のビールも出したいそうだ。前出の大分大学・柴田准教授は「男性が地域にかかわるきっかけとして、ビールはキラーコンテンツになってくれるはず」と期待を寄せる。

「みどり to ゆかり日の里」内部。小さな子どもにも使いやすいよう畳のコーナーを設けた(写真:萩原詩子)
「みどり to ゆかり日の里」内部。小さな子どもにも使いやすいよう畳のコーナーを設けた(写真:萩原詩子)
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将来は“里山型”の住宅地に。新旧の住人をつなぐコミュニティ拠点

 「ひのさと48」2階には、今夏にも企業の連携拠点「さとのひワンダーベース」をオープンする計画だ。東邦レオが運営主体となり西部ガスも参加する。

 「コワーキングではなく、Co-doingを掲げている」と吉田氏。今長谷氏は「今、多くの企業が地域課題解決に挑戦するフィールドを求めている。すでに興味を持ってくれる企業が現れ、手応えを感じている」と語る。ここでも、地域の子どもたちの意見を採り入れていく考えだ。6月には先行して中学生による「ひのさと48の外壁をクライミングウォールに」というアイデアの実現を目指し、クラウドファンディングを実施。200万円の目標額を大きく上回る275万2000円を集めた。

ひのさと48の外壁をクライミングウォールにするための資金をクラウドファンディングで集めた(クラウドファンディング企画ページより)
ひのさと48の外壁をクライミングウォールにするための資金をクラウドファンディングで集めた(クラウドファンディング企画ページより)

 「ひのさと48」の向かいで造成が進む宅地は、木立の中に64軒の家が点在する、“里山”のような住宅地になる予定だ。敷地の境界線を曖昧にし、豊かな緑や広場を共有する。「ひのさと48」は将来、この新しいコミュニティの集会所と管理拠点を兼ね、以前からの住人と、新しく入ってくる住人をつなぐ役割を担うことになる。

「ひのさと48」の前に開けた造成中の宅地(写真:萩原詩子)
「ひのさと48」の前に開けた造成中の宅地(写真:萩原詩子)
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街区の完成イメージ図(資料・宗像市)
街区の完成イメージ図(資料・宗像市)
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 5月4日に開催された「ひのさと48」オープニングセレモニーには伊豆美沙子宗像市長も登壇。「ここを中心に生まれる人と人とのつながりが地区の魅力を高め、この場所が新たな市のランドマークになっていくことを期待している」と語った。