地上はハーブで覆い、除草は障がい者の労務機会に

 発電事業者のアイ・ねっとは、山陰地方の地方自治体や第三セクター方式のケーブルテレビ事業者など向けにコンサルティングなどを手がけてきた。

 太陽光発電は未経験だったものの、既存のケーブルテレビや公共ネットワークによる地域の情報網の構築と同じように、地域を活性化できる事業の一つとして展開できるのではないかと考えた。

 これまで培ってきた島根県を中心とする地域のネットワークを活用したプロジェクトの組成や実行のためのノウハウを生かして開発・運営しているという。

 例えば、地域の障がい者就労支援施設である「どりーむ」(出雲市東福町)に、除草の一部を委託している(図3)。どの地域でも就労機会の確保が課題となっている中、働く場の提供に寄与している。雨が降るなどの悪天の日を除く平日には、障がい者が手作業で除草している。

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図3●手作業による雑草の除去
障がい者就労支援施設による作業の様子(出所:日経BP)

 メガソーラーの敷地内には、県が求めた地上の緑化を実現するために、被覆植物としてハーブを植えている。

 ハーブが地表を覆うことで、他の雑草の育成を抑える効果にも期待している。ただし、場所によってハーブや他の雑草の生育状況は異なり、除草作業も必要となっている(図4)。この作業の一部を委託している。

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図4●アレイ間にハーブを植えた
場所によって育成状況が異なる。サッカーのグラウンドとして使われていた場所(左下)では、芝が強く根付いている(出所:日経BP)

 このほか、地域の活性化に資する取り組みとして、売電収益の一部を市に寄付し、「出雲SOLARiE 1000年の森づくり」と呼ぶ事業を実施している。

 2017年度までは年100万円、2018年度からは年200万円を寄付しており、これをベースとして農林水産省による森林保全の補助事業を活用し、島根半島で大きな課題となっているマツ枯れやブナ枯れへの対策などに取り組んでいる。この関連で、出雲市の森林組合に毎年300万~600万円の施業を委託しているという。

 また、メガソーラーが立地する大社町内の小中学校4校に、発電量のほか学校の連絡事項が掲示できるディスプレイを寄贈し、生徒の再生可能エネルギーに関する理解や意識の向上と同時に、学校の業務の効率化にも寄与しているとする。

 地域のネットワークを重んじて開発・運営しているという点では、出雲市大社町ならではの逸話もある。

 アイ・ねっとの石原俊太郎代表取締役は、出雲市の教育委員会の委員を務め、その際の縁から、出雲大社の宮司家の一つである北島國造(こくそう)家が、メガソーラーの起工式と竣工式に関わった(図5)。

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図5●出雲大社の宮司家が竣工式などに関わった
中段は、北島國造(こくそう)家の國造館で開催された直会の様子で、北島建孝國造が挨拶した(中右)。下は、メガソーラーの現地事務所の神棚(出所:アイ・ねっと、下は日経BP)
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 出雲大社の宮司家は、千家國造(せんげこくそう)家と北島國造家の二つがある。いずれも天皇家の親戚であり、祭事などを行う両家の國造館(こくそうかん)は、出雲大社の両脇に立地している。

 メガソーラーの起工式や竣工式は現地で実施し、その後の直会(なおらい:神事の終了後に、神前に供えた御饌御酒を戴く行事)は、この國造館の一つである北島國造館にて開催した。