今年5月1日、広島市安佐北区のJR可部線・あき亀山駅前に広島市立北部医療センター安佐市民病院がオープンした。移転前の安佐市民病院をはじめ、近隣自治体の公立・公的4病院を再編・ネットワーク化した結果だ。旧病院を活用し、地元の安佐医師会が100床規模の病院を運営する民間も交えてのスキームで、その改修工事も急ピッチで進められている。地域の医療提供体制はどう変わるのか。そして生まれ変わった安佐市民病院の特徴は――。まちづくりの視点で行われたこの再編事例を紹介する。

 地方独立行政法人・広島市立病院機構が経営する新しい安佐市民病院は、地上5階、地下1階建てで延べ床面積は約5万1660m2。免震構造で、屋上にはドクターヘリなどが発着するヘリポートを設置した。病院にはめずらしく、地下には262台を停められる患者用駐車場を設けた。病床数は旧安佐市民病院より93床少ない434床だが、診療科目は29科から35科へと増やし、カテーテル治療室を2室から4室に、手術室を9室から11室にそれぞれ増設。全国から患者が集まる整形外科では、日本初の3D画像とナビゲーションを連動させた最先端の手術支援ロボットによる、脊椎手術を実施できる体制を整えている。

オープン間もない広島市立北部医療センター安佐市民病院。2市2町にわたる4病院の再編の結果だ(写真:井上俊明)
オープン間もない広島市立北部医療センター安佐市民病院。2市2町にわたる4病院の再編の結果だ(写真:井上俊明)
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広島市安佐北区と安芸高田市、安芸太田町、北広島町の位置
広島市安佐北区と安芸高田市、安芸太田町、北広島町の位置
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 そして、これまで以上に高度急性期・急性期医療に特化した病院として生まれ変わった同病院は、広島と山陰地方を結ぶ水陸の交通の要所にある立地を生かし、広島県北西部地域の医療の要の役割も担う。名称に「北部医療センター」とついているのはその表れだ。ただし、自院のみでなく他の医療機関と役割分担の上で連携する「地域完結型」の医療を目指している。

 広島市と近隣の安芸高田市、安芸太田町、北広島町にある公立・公的4病院の再編の一環として新築移転した経緯からも、それが求められていることが分かる(下の図)。病床の機能でみると、町立安芸太田病院と北広島町豊平病院から急性期用のベッドを減らし、安芸高田市のJA吉田総合病院から精神疾患用のベッドを安佐市民病院に移管した格好になる。精神病床では、身体合併症のある精神疾患の患者を診療する。

2市2町にある病院の再編前後における役割の変化(資料:広島市立病院機構)
2市2町にある病院の再編前後における役割の変化(資料:広島市立病院機構)
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