社員の副業・兼業を認める企業が増える中、人材難に悩む地方では、副業・兼業で都市部の人材を求める動きが活発化している。静岡県、愛媛県、神戸市、余市町(北海道)のように、自治体職員として人材を募集している自治体も増えているが、鳥取県の場合、県内企業に対して副業人材をマッチングさせている。2021年度では第一期の募集で46社48人が副業として採用された。2019年度のスタート以来、獲得した人材は累計で72社116人となった。サイトで求人公募をかけるとあっという間に採用が決まるという人気振りだ。なぜ鳥取県はここまで成果を出せたのか? ここではその成功のシナリオを見ていく。
鳥取県では2019年度から「鳥取県で週1副社長」をうたい文句に、都市部の副業・兼業人材と県内企業をマッチングする「とっとり副業・兼業プロジェクト」をスタート。月3万円から5万円とプロを招くにしては安価な報酬で県外から多くのビジネスパーソンを集めている。
プロジェクトの第一弾が始まったのは2019年9月のこと。人材紹介会社ビズリーチと連携し、同社の特設サイトで県内企業への副業・兼業人材を2期にわたって募ったところ、1000人を超える応募者が殺到した。結局この年は、14社16求人に対して1363件の応募があり、そのうち23人の採用につなげた。単純計算だが、倍率59倍という人気の高さである。
以降、翌2020年度にはみらいワークス、2021年度にはパーソルイノベーションと様々な観点から人材紹介会社を替えながら連携し、3年連続で規模を拡大させながらプロジェクトを継続している。
今年5月から始まった2021年度プロジェクトでは年4回の募集を予定しており、100社100人の採用を目標にしている。既に締め切られた第1回目の募集だけで46社68人のマッチングが決まり、今年度の目標は早々とクリアしそうだ。Webサイトからの求人掲載目標数は、第1次が50社、第2次が80社、第3次が50社、第4次が20社を合わせて年間目標200社に置いている。昨年度の経験値から社数に対するマッチング成約率を50%と考え、200社×50%=100社で200社の求人掲載数を最終的に目指している。