求める人材は「お金を希望している人ではない」という割り切り

 そんな苦労を重ねるうち、松井氏は地場企業の経営者が2つの問題を抱えていることに思い至る。一つはそもそも優秀な人材に来てもらってもフルタイムでやってもらうほどの仕事がないこと。もう一つは優秀な人に相応の報酬を払えるだけの資金がないということだ。

 こうした問題を解決するために松井氏が選んだのは求人側・応募側に心理的負担の少ない“ライト戦略”とでも言えるものだった。移住就職のような“ヘビー ”なものではなく、自分の会社に勤めながら副業・兼業で課題を解決する人材獲得というもっと軽いもの。

 松井氏は言う。「そのために解決したい経営課題はピンポイントで解決できるものにフォーカスしました。しかも費用は安く」。さらに「お金だけを希望している人ではなく、社会的なつながりを希望してくれる人に来てもらうのがいい」と発想を変えた。そういうマインドで動く人たちを、獲得するターゲット人材のペルソナに設定したのだ。

 一方で、県側としては、最終的には移住人口の増加にまでつなげたいため、人材獲得事業のスキームの中に「移住就職」という看板は外せない。松井氏は、こうした県側のニーズも汲みとり、移住就職を増やす取り組みは並行して続けながら副業・兼業人材を求める動きを次第に強めていった。「最初は私の個人的なネットワークの中で、ちょっとお金はたくさん出せないけれど、副業・兼業で地元企業の課題解決を手伝ってもらい、何とかやっていくうちにこれで行けるんじゃないか」という確信が生まれていった。

鳥取県の2021年度「副業・兼業プロジェクト」では100社100人のマッチングを目指している。年4回の募集のうち最初の1回目で既に46社68人のマッチングが決まった。早々と目標達成しそうな勢いだ。画面は「募集終了」と書かれた求人案件がズラリと並ぶ求人サイト「Loino」(21年度に連携しているパーソルイノベーションの求人サイト)の画面
鳥取県の2021年度「副業・兼業プロジェクト」では100社100人のマッチングを目指している。年4回の募集のうち最初の1回目で既に46社68人のマッチングが決まった。早々と目標達成しそうな勢いだ。画面は「募集終了」と書かれた求人案件がズラリと並ぶ求人サイト「Loino」(21年度に連携しているパーソルイノベーションの求人サイト)の画面
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