東京・西新宿にある新宿中央公園内に、カフェやヨガスタジオなどで構成される交流施設「SHUKNOVA(シュクノバ)」が誕生した。運営管理者は新都市ライフホールディングス(東京都新宿区)。新宿区がPark-PFI(公募設置管理制度)を活用して同社を事業者に選定した。施設開業に合わせて、区は施設前面に芝生広場を整備した。

芝生広場から「SHUKNOVA(シュクノバ)」を見る(写真:日経BP)
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新宿中央公園の配置と「SHUKNOVA」(右下)の位置(資料提供:新宿区)
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 新都市ライフホールディングスは7月16日、新宿区立新宿中央公園の北東端において、交流施設「SHUKNOVA(シュクノバ)」を開業した。新宿区は2017年9月に新宿中央公園魅力向上推進プランを策定。同プランに基づき、2018年9月に新宿中央公園芝生広場における交流拠点施設整備事業の民間事業者を公募した。区では2019年3月に新都市ライフホールディングスを認定計画提出者として認定。同社は同年9月、公園施設設置許可を取得した。

 推進プランでは、「賑わい交流空間(水の広場)」「芝生広場」「眺望のもり」「ちびっこ広場」など7つのゾーンに区分し、それぞれの特色を活かした取り組みを進めていく。今回の整備は、このうち「芝生広場」に関するものだ(関連記事12)。

 SHUKNOVAは鉄骨造・2階建てで延べ面積は約1200m2。このうち約880m2が公募対象公園施設で、1階にレストラン「むさしの森Diner」、カフェ「スターバックス コーヒー」、1・2階にフィットネスクラブ「PARKERS TOKYO」が入った。建物の1階エントランスや1・2階に設けたテラスはオープンスペース(特定公園施設)となっている。年間利用者(建物に立ち寄る人の数)は40万人を見込む。

2階のテラス(MIHARASHI TERRACE)。イスやソファーセット、カウンターテーブル、スピーカーをしつらえてあり、誰でも自由に使うことができる(写真:赤坂 麻実)
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2階のテラス(MIHARASHI TERRACE)から見た芝生広場(写真:日経BP)
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1階レストラン(むさしの森Diner)前のテラス。同じく1階のスターバックスコーヒー前のテラスも含め、誰でも自由に使うことができる(写真:赤坂 麻実)
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 事業期間は約18年9カ月。施設整備費は特定公園施設も含めて、全額を新都市ライフホールディングスが負担した。金額は非公表。事業者から区へ支払われる特定公園施設の土地使用料は、月額約124万円(1m2当たりの月単価は2220円)。

レンガや木材を使った外装で「温かみや優しさ」演出

 施設のコンセプトは「SHUKUBA RE BORN」とした。江戸時代に内藤新宿として栄えた地域の歴史と、緑豊かな公園の景観・環境を生かし、「宿場町の縁側空間」の再現を目指すこととした。施設名称は、宿場町、人々が集まる場所を表す「SHUKU」(宿)にラテン語で「新しい」を意味する「NOVA」を組み合わせた。異なる文化の輪や人々の交流の輪を育む場にしたいという思いが込められている。

エントランスの壁面で、施設コンセプトや施設名の由来を紹介(上)。前庭のモニュメント(右)は工事中に出土したレンガの一部。公園が整備される以前、この場所にあった淀橋浄水場のものと推測される(写真:赤坂 麻実)
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 施設コンセプトおよびデザインの監修は、スタジオモンス(東京都中央区)の伊藤圭太氏が務めた。「SHUKNOVAの誕生が新宿西口の都市景観に新しい存在感と空気感を生み出し、さらなる街の活気を創り出すことを目指した」とする。

2階建ての施設は圧迫感がなく、公園の緑と調和する。手前のベンチがあるスペースは区が整備したポケットパーク(写真:赤坂 麻実)
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都庁との間を走る公園通り側(東側/ポケットパーク側)から施設を見る(写真:赤坂 麻実)
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公園通り側(東側/ポケットパーク側)のレンガ壁は、髙山煉瓦建築デザイン(千葉県柏市)の髙山登志彦氏が手掛けた。夜間はライトアップされ、中空積みの波打ったデザインが浮き上がる(写真:赤坂 麻実)
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公園通り側から見た「SHUKNOVA」。植栽を残しつつ、淡々としたデザイン(写真:日経BP)
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 デザインコンセプトは「森のEN-GAWA」。建物は公園の樹木をなるべく残す配置とし、高さを抑えて、公園の景観との調和を図った。1階には前面の芝生広場と一体的に利用できる「ENGAWA TERRACE」を、2階には芝生広場を一望できる「MIHARASHI TERRACE」を設置。外装にはレンガや木材などの自然素材をアクセントに使い、公園施設らしい温かみや優しさのある表情にこだわった。

吹き抜けのボルダリング施設や100m2のヨガスタジオを整備

 1階に入居したレストラン「むさしの森Diner 新宿中央公園店」は、すかいらーくグループの新ブランド「むさしの森Diner」の1号店だ。もともと現地には同社の「むさしの森珈琲」があった。ファミリー層など向けにプレートメニューを充実させた新業態に生まれ変わり、全107席を用意する。

むさしの森Dinerの店内。ソファー席やカウンター席のほか、個室も用意した(写真:赤坂 麻実)
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公園ビューのカウンター席(写真:赤坂 麻実)
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 同じく1階に入る「スターバックス コーヒー 新宿中央公園 SHUKNOVA店」は全48席。スターバックスは新宿御苑や上野公園、名城公園、大阪城公園など、公園内への出店実績が豊富なことから誘致が決まったという。

建物エントランスにはデジタルサイネージを設置。新宿区の行政情報なども配信する(写真:赤坂 麻実)
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スターバックスの前にもテラス。飲食店の客でなくとも利用でき、ペットも同伴可(写真:日経BP)
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 2階に入居するアウトドアフィットネスクラブの「PARKERS TOKYO」は、事業主体が新都市ライフホールディングスで、運営をBEACHTOWN(神奈川県横浜市)に委託している。1階に吹き抜けのボルダリング施設があり、2階には事務所やヨガスタジオを整備した。

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ボルダリングウォールの上部にはカラビナが。今後、ハーネスを使ったロープクライミングも可能にする計画という(左写真)。2階へは外階段で上がる(上写真)。2階は誰でも利用できるMIHARASHI TERRACEを含め、ペットの同伴は禁止(写真:赤坂 麻実)
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 ボルダリングウォールは高さ4m。1階から登って2階の高さに到達する。2階の事務所前のスペースに観覧席があり、子どもがフィニッシュする瞬間を親が撮影するといった使い方を想定している。開業時点で63のコース・課題を用意した。課題は定期的に更新するという。

 2階にはメンバーズラウンジやランナーサポート施設(ロッカー、シャワー)も備える。ボルダリングやヨガだけでなく、アウトドアフィットネス(コーチが指導するランニング、ウォーキング、トレイルラン、サーフィンなど)も提供する。

 BEACHTOWNの黒野崇社長は「自然と触れ合いながら健康と美をつくろうという、インドアとアウトドアが融合したトレーニングジム。朝7時から営業しているので、周辺のワーカーの皆様が通勤途中に利用することも可能」と話す。

約100m2のヨガスタジオ。大きな窓から公園を望める(写真:赤坂 麻実)
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天井にフックがあり、ハンモックを使ったヨガも可能。スタジオから連続するテラスでもヨガが行える(写真:赤坂 麻実)
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芝生エリアや園路を区がリニューアル

 新宿区は、SHUKNOVAの開業に合わせて、施設北側にベンチなどを配置した「ポケットパーク」を整備した。また、施設西側では園路と芝生を全面リニューアルし、「芝生広場」とした。芝生広場は約8500m2。以前に比べて見通しや明るさを改善し、園路の段差を解消した。整備費は約1億7640万円。なお、SHUKNOVA開業のにぎわいイベントは区の要請(新型コロナ対応)で中止となった

リニューアル前の様子。公園北東端から芝生広場になる辺りを見る(写真:新宿区)
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リニューアル前の園路。段差がある(写真:新宿区)
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リニューアル後の園路。舗装され、段差も解消された(写真:新宿区)
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細い通路の手前側は「魅せる芝生」として鑑賞用(立ち入り禁止)の芝生エリアに(写真:赤坂 麻実)
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立ち入り禁止の「魅せる芝生」エリア(写真:日経BP)
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1階テラス側から見た芝生広場(写真:日経BP)
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