エルダー代表取締役の津島周史氏(写真:井上俊明)
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 入居者集めのPRは順調のようだ。エルダー代表取締役の津島周史氏は、「これほどスムーズに入居が進むと思っていなかった。赤磐市はチラシで広報してくれ、2回の見学会に計500人の住民が訪れるなどそのバックアップは大きかった」と語り、オープン4カ月目で手応えを感じている。同時期の小規模多機能の登録者数は10人強。全体の採算はなんとか黒字になるぐらいの見通しであり、大きな規模の事業ではないが、施設運営の事業性だけでなく、「公設民営」「共生」の事業に参加したことで、たくふう会グループのブランド向上の効果があると期待している。加えて、職員採用の面でもプラスになりそうだという。

市民病院の病床を医師会病院へ

 赤磐市がハートフル太陽に、制度ができてまだ歴史が浅く、あまり普及していない小規模多機能型居宅介護の事業所を必置としたのには理由がある。下の表に、ハートフル太陽が完成するまでの経緯を示した。この場所には、2014年3月まで50のベッドを持つ赤磐市立赤磐市民病院があったが、患者数が減少傾向にあったうえ、経営が苦しく毎年一般会計からの繰り入れを余儀なくされていた。施設の老朽化にも直面。2010年には大学から外科医の派遣を打ち切られ、当直体制が維持できなくなった。

あかいわハートフル太陽が誕生するまでの主な経緯
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 このころ、総務省は再編・ネットワーク化など公立病院の改革を推し進めており、各自治体病院に検討を促していた。赤磐市でも委員会を立ち上げて議論した結果、赤磐市民病院を無床の診療所に模様替えして、医療と介護の連携機能を強化することになった。

 具体的には市役所などがある市中心部の赤磐医師会病院にベッドを49床移し、リハビリテーション専門の病棟を増築。一方旧赤磐市民病院は廃止し、代わりに道路の斜め向かい側にベッドを持たない診療所を新築した。熊山診療所と名付け、外来診療のほか在宅療養の支援にも力を入れている。

 その後赤磐市は、市民病院の跡地利用について住民にアンケート調査を実施した。すると、入院設備のある病院がなくなり同時期にベッドを持つ別の診療所も閉院したことから、自宅で療養する高齢者が、夜間などに悪化した場合の不安を訴える声が多くあがってきた。そこで赤磐市は、「泊まれる施設」を望む住民の要望に沿い、宿泊スペースのある小規模多機能型居宅介護の運営を、指定管理者選定の第一条件にしたわけだ。

閉院した赤磐市民病院に代えて、市が道路の反対側に新築した赤磐市国民健康保険熊山診療所(写真:井上俊明)
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赤磐市保健福祉部参事で熊山診療所担当の川原達也氏(写真:井上俊明)
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 2016年には複合型の介護福祉施設を公設民営で建設・運営する方針を決定。赤磐市保健福祉部の川原達也氏は、「民間ノウハウの活用により、運営コスト削減とサービス向上を狙ったもの」と説明する。指定管理者を公募したところ、複数の事業者が手を挙げ、最終的に昭友会を代表とする民間5事業者のグループに決まった。