新幹線開通や著名人の来訪が追い風に

 2011年3月には九州新幹線が鹿児島中央駅まで開通。番所鼻公園と釜蓋神社にも来訪者が急増した。この年、公園では記録を取っていないが、釜蓋神社は参拝客年間約8万人と推計している。前年の2010年は年間4万人だったので、倍増である。

 県は2011年度も引き続き番所鼻公園再整備を「魅力ある観光地づくり事業」に採択。新たな展望デッキの設置や広場の芝張りなどを進めた。

 2012年は番所鼻公園に追い風が吹いた年でもある。辰年効果で「タツノオトシゴハウス」を取り上げるメディアが急増。12年の元旦には1日で700人の来場者が詰めかけた。一方の釜蓋神社には女子サッカーの澤穂希選手と福元美穂選手が参拝に訪れたことが報道され、大きな反響を呼んだ。

 同じ年の5月、おこそ会は市の許可を得て、公園を舞台に「ばんどころ絶景祭り」を初開催。予算は自ら捻出した25万円で、近隣の商店にも呼びかけ、飲食の提供やガイド付きのウォーキングなど、来園者を飽きさせない工夫を凝らした。初回にもかかわらず、約2000人が詰めかけたという。以後、祭りは毎年恒例となり、今では3000人近くを集めるまでになっている。

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2019年のばんどころ絶景祭りのフライヤー(画像提供:頴娃おこそ会)

 2013年の正月、釜蓋神社は三が日だけで約1万9000人の参拝客を集めた。公園と神社の行き来を強化すれば、観光客の滞留時間も長くなる。おこそ会は公園と神社を結ぶウォーキングコースの整備を着想、ボランティアで草払いや道しるべの設置を始めた。この活動もまた、県が引き取り、海伝いに歩けるよう、約6521万円かけて岩礁に橋や階段を整備、愛称「シーホーウォーク」が完成した。2015年には県の「かごしま・人・まち・デザイン賞」景観づくり部門の大賞を受賞している。

シーホーウォークの地図(画像提供:頴娃おこそ会)
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番所鼻公園・釜蓋神社周辺をめぐる観光地づくりの経緯(頴娃おこそ会と南九州市、鹿児島県の取材を元に筆者作成)
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