ボランティアによるサービス提供に限界

 長年のボランティアによる観光振興を通じて行政の信頼を得たおこそ会は、2015年度に県から正式に「持続可能な着地型観光地づくり事業」の業務委託を受ける。これにより、おこそ会初の専任スタッフとして福澤知香氏が鹿児島市から移住し、着任。公園の来訪者アンケートなどの観光調査に取り組んだ。

 来訪者から公園に対する要望の筆頭に挙げられたのは、カフェや売店、釣り具などのレンタル、案内所だった。いずれも、実現するには、誰かが公園に常駐してサービスを提供しなければならない。ボランティア頼みの番所鼻公園にとっては高いハードルだ。

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番所鼻公園観光調査の様子(写真提供:頴娃おこそ会)

 この間ずっと、おこそ会の観光プロジェクトリーダーとして取り組みを主導してきた前出の加藤氏は「早い段階から、公園にサービスの視点を持ち込む難しさを感じてきた」と語る。

 おこそ会では、来園者が公園で遊べるよう、さまざまなアイデアを出してきた。最初の吉鐘はもちろん、県が整備した「タイタニック広場」も「シーホーウォーク」もおこそ会の提案によるものだ。いずれも、施設を設置しさえすれば誰もが利用できる。しかし、来園者にサービスを提供しようとすると、一筋縄ではいかなくなる。

2012年3月に完成した「タイタニック広場」。ハート型の影が落ちる屋根の下に中央が少し凹んだベンチを置いている。2人で並んで座ると自然と寄り添う仕掛け。海に張り出す船の舳先のような展望デッキがある(写真提供:頴娃おこそ会)
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 「公園が少しずつ賑わってきた頃、週末にテントを出して地元名産のお茶をふるまい始めた。とはいえ、その都度テントを張るのは大変なので、小屋を建てたいと市に申し出たら、それは許可できない、と却下された」と加藤氏。公園を管理する立場からは、市の公園の中で、民間施設の設置をここだけ許可するわけにいかないということだったようだ。

 結局、市と県が協議し、公共事業として2014年に「おもてなし拠点」と呼ばれる小屋が設置された。「要望が聞き入れられたのはありがたかったが、設計は市が発注するので、使う我々の意見が届かなかった。これまでのところあまりうまく活用できておらず、残念に思っている」(加藤氏)