昨年7月のオープン後、延べ外来患者数は前年同月比で月に100人ほど増えている。8月からは入院患者も本格的に受け入れ始めた。2019年度下半期(2019年10月~2020年3月)の外来患者数は、循環器内科の延べ3231人を筆頭に、人工透析内科が同2862人、整形外科が同2490人など。6カ月間の1日平均患者数は86人。期中で医師が1人病気で入院し、亡くなるというアクシデントに見舞われ、12月以降内科の外来患者が減少した影響もあり、目標とする1日平均92人にわずかに届かなった。

田村市病院事業業務状況説明書(2019年度下半期)をもとに作成
田村市病院事業業務状況説明書(2019年度下半期)をもとに作成
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 一方、この間の病床利用率は平均値で51.9%。目標の50%はなんとかクリアーした。「旧病院の最後の2年ほどは、入院患者の受け入れを見合わせており、体制が十分整ってはいなかった。スタッフの慣れを見ながら徐々に増やしていきたい」と渡辺氏は話す。

50床に拡大して新築移転へ

 県中地域の中で、田村市は三春町・小野町とともに田村地域としてひとくくりにされている。三春町には同じ星総合病院が指定管理者として運営している町立三春病院が、また小野町にはやはり公立の小野町地方綜合病院がある。国が進める公立病院の再編・ネットワーク化は、たむら市民病院を含むこれら3つの公立病院を対象に検討・協議がされており、統廃合ではなく郡山市内の病院を含めた役割分担と連携で進めていくことになっている。

 その中でたむら市民病院は、2024年度をめどに50床にベッドを増やし、新築移転する計画だ。32床という規模では採算を取るのが難しい――というのが主な理由。市のへき地診療所に休床している19床があるので、それを活用して50床の新病院を建設することになっている。市役所近くに用地は確保済みで、今年度から造成工事に着手する予定だ。

表3●田村地域の再編・ネットワーク化の検討・協議の方向性
出所:「たむら市民病院経営改革プラン」(2020年3月)
  1. 公立3病院(たむら市民、三春町立三春、小野町地方綜合の3病院)の機能と連携のあり方
  2. 郡山市内の医療機関との連携のあり方
  3. 地域のかかりつけ医と公立3病院との連携のあり方
  4. 在宅医療と地域包括ケアへの対応方策
  5. 医師など医療人材の確保対策

 40億円の建設費が見込まれるプロジェクトだけに、市議会でも資金面などの質問は出るが正面から反対する声は特に聞こえてこないという。「今の病院だと、コロナの疑いのある患者とそれ以外の患者の動線を分けるのも難しい。感染すると重症化しやすい透析患者もいれば、約50人のスタッフもいる。新築に当たっては感染症への配慮は必須ではないか。加えて、住民の一時的な避難先となるなど、災害時の拠点としての役割も必要だろう」と渡辺氏はみる。

 医療計画と医師確保という高い壁を、民間病院の譲り受けや指定管理者制度の活用といった「公民連携」でクリアーしたたむら市民病院。集患や経営面での課題はまだ残されているが、新たな展望も開けてきている。