NREG東芝不動産は2019年8月3日、東京都港区に日の出ふ頭小型船ターミナル「Hi-NODE(ハイノード)」を開業した。東京都港湾局と連携し、都有地の用地使用許可を受け、地域の賑わい創出と舟運活性化に資する施設を民設民営で整備した。都はHi-NODE前面の水域に、日の出ふ頭として3つ目の桟橋を新設し、Hi-NODEの開業に合わせて供用を開始した。

Hi-NODEの建物外観。二つ連なった三角屋根が特徴。二階建てで各フロアに飲食店舗が入居している。延べ面積887.12m2(写真:赤坂 麻実)
Hi-NODEの建物外観。二つ連なった三角屋根が特徴。二階建てで各フロアに飲食店舗が入居している。延べ面積887.12m2(写真:赤坂 麻実)
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8月2日には開業式典が行われ、東京都の小池百合子知事も出席した(写真:NREG東芝不動産)
8月2日には開業式典が行われ、東京都の小池百合子知事も出席した(写真:NREG東芝不動産)
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 Hi-NODEは、東京都港湾局が進める日の出桟橋の改修・新設等の事業と連携し、船客待合所、飲食施設、イベント広場で構成される。事業主はNREG東芝不動産、設計は野村不動産である。

 日の出ふ頭の西側(芝浦運河を挟んだ西岸の内陸側)では、野村不動産、NREG東芝不動産、東日本旅客鉄道が東京圏の国家戦略特別区域の特定事業である「(仮称)芝浦一丁目計画」を進めており、Hi-NODEの設置・運営は同計画の関連事業との位置付けだ。

東京港から見た「(仮称)芝浦一丁目計画」のイメージ。東芝が本社を置く浜松町ビルディングを建て替え、オフィス、ホテル、住宅、商業施設などで構成する高さ約235mのツインタワーを建設。2029年度完成を目指す(資料:野村不動産、NREG東芝不動産、東日本旅客鉄道)
東京港から見た「(仮称)芝浦一丁目計画」のイメージ。東芝が本社を置く浜松町ビルディングを建て替え、オフィス、ホテル、住宅、商業施設などで構成する高さ約235mのツインタワーを建設。2029年度完成を目指す(資料:野村不動産、NREG東芝不動産、東日本旅客鉄道)
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 Hi-NODEが整備された土地は、東京港管理事務所が現在の港区港南に移転する以前に、同事務所に隣接して駐車場や車庫、倉庫として利用されていた。事務所移転後、都が利活用の方法を検討していたところ、周辺で超高層ビル2棟を建設する(仮称)芝浦一丁目計画が決定したことから、公民連携による整備を進めることになった。

 2017年6月19日に、都と野村不動産、NREG東芝不動産の間で「日の出ふ頭を活用した舟運活性化・地域振興の基本方針に関する協定」を締結。2018年5月14日には、「(仮称)日の出ふ頭小型船ターミナル等の整備及び運営に関する協定」を結んだ。

 協定は、事業期間を15年間とし、都有地の一部を有償(364円/m2・月)で、一部を無償で事業者に貸し与え、事業者はふ頭ターミナル施設の整備・運営により、周辺地域の賑わい創出と舟運活性化を図るというもの。

周辺エリアの回遊イメージ(資料:野村不動産ホールディングス)
周辺エリアの回遊イメージ(資料:野村不動産ホールディングス)
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 有償で貸借されているのは、Hi-NODEの建物が建っている部分で846.32m2。レストランなど、民間事業者の営利施設が入居しているため、有償とした。一方、無償で貸借されているのは、芝生広場を中心とした1358.85m2。一般開放の広場とし、賑わい作りに貢献するイベントを定期的に開催することを条件に、無償とした。

賑わいを生むイベントに使う芝生の広場。森や浜辺、動物の鳴き声などの自然環境音で、憩いの空間を演出する。使用する3Dサウンドは、音響監督のkatsuyuki seto氏が監修(写真:赤坂 麻実)
賑わいを生むイベントに使う芝生の広場。森や浜辺、動物の鳴き声などの自然環境音で、憩いの空間を演出する。使用する3Dサウンドは、音響監督のkatsuyuki seto氏が監修(写真:赤坂 麻実)
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727m2の芝生広場にはパラソルを設置。ステージも設けられ、音楽イベントやパーティーを開催できる。すでに映画の野外上映会や地元サークルの発表会などが行われている(写真:日経BP総研)
727m2の芝生広場にはパラソルを設置。ステージも設けられ、音楽イベントやパーティーを開催できる。すでに映画の野外上映会や地元サークルの発表会などが行われている(写真:日経BP総研)
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ラウンジ(船客待合所)にも3Dサウンドを導入する(写真:赤坂 麻実)
ラウンジ(船客待合所)にも3Dサウンドを導入する(写真:赤坂 麻実)
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ラウンジの利用イメージ。アートの展示なども行う(資料:NREG東芝不動産)
ラウンジの利用イメージ。アートの展示なども行う(資料:NREG東芝不動産)
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広さ112m2のウッドデッキ。撮影やイベント用に貸し出すことも(写真:日経BP総研)
広さ112m2のウッドデッキ。撮影やイベント用に貸し出すことも(写真:日経BP総研)
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民間のノウハウで賑わい創出、収益は維持管理などに活用

 NREG東芝不動産は、東京都から舟運の活性化と地域の賑わい創出を命題として提示されたのを受けて、「ただ船の乗り降りをするだけの場所ではなく、この場所自体が目的地となりうるようなターミナル施設を作る」として計画を検討した。

 2階建ての建物の1階に船客待合所とバーベキューが楽しめるテラス席付きのカフェ/レストランを、2階にはパーティーやイベントでの貸し切り利用も可能なバー/レストランを整備した。また、人々が集える場所として芝生の広場を設けている。建物の形状は、三角屋根の倉庫群をモチーフにした。地域の歴史や周囲との調和を意識したという。

1階には約190席(店内 94席、テラス 100席)のレストラン&カフェ「BESIDE SEASIDE(ビサイドシーサイド)」。運営事業者はバルニバービ。芝生広場でヨガ企画なども開催している(写真:日経BP総研)
1階には約190席(店内 94席、テラス 100席)のレストラン&カフェ「BESIDE SEASIDE(ビサイドシーサイド)」。運営事業者はバルニバービ。芝生広場でヨガ企画なども開催している(写真:日経BP総研)
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土日祝日はオールデイ・ダイニングとうたい、朝7時30分からオープン(写真:NREG東芝不動産)
土日祝日はオールデイ・ダイニングとうたい、朝7時30分からオープン(写真:NREG東芝不動産)
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予約(4人以上)すればバーベキューも楽しめる(写真:赤坂 麻実)
予約(4人以上)すればバーベキューも楽しめる(写真:赤坂 麻実)
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桟橋を間近に望むテラス席(写真:赤坂 麻実)
桟橋を間近に望むテラス席(写真:赤坂 麻実)
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ホットドッグなど一部メニューはテイクアウトにも対応(写真:赤坂 麻実)
ホットドッグなど一部メニューはテイクアウトにも対応(写真:赤坂 麻実)
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2階にはマルチキュイジーヌレストラン「BERTH ONE(バースワン)」。全118席(店内 86席、テラス 32席)。パーティなど貸し切り利用も想定。運営事業者はスター・メイカー・ジャパン(写真:日経BP総研)
2階にはマルチキュイジーヌレストラン「BERTH ONE(バースワン)」。全118席(店内 86席、テラス 32席)。パーティなど貸し切り利用も想定。運営事業者はスター・メイカー・ジャパン(写真:日経BP総研)
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バーカウンター。ワインや日本酒などのアルコールメニューも豊富だ(写真:赤坂 麻実)
バーカウンター。ワインや日本酒などのアルコールメニューも豊富だ(写真:赤坂 麻実)
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海を望むデッキにもテーブルが。ディナータイムは東京湾の夜景を一望できる(写真:NREG東芝不動産)
海を望むデッキにもテーブルが。ディナータイムは東京湾の夜景を一望できる(写真:NREG東芝不動産)
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桟橋側にテラス席も(写真:赤坂 麻実)
桟橋側にテラス席も(写真:赤坂 麻実)
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テラス席から海や船着き場が見える(写真:赤坂 麻実)
テラス席から海や船着き場が見える(写真:赤坂 麻実)
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 また、企画アドバイザーにRhizomatiks Architecture(ライゾマティクス・アーキテクチャー)主宰の齋藤精一氏、LeaR(リアル)代表取締役/クリエイティブ・ディレクターの小橋賢児氏を迎え、施設設計のみならず、イベント運営面も含めた企画を強化。水辺空間・舟運拠点の賑わい創出を目指す。

 芝生広場でのイベントで利益を計上した場合は、ターミナル施設の維持管理やイベント運営に充当することが協定に盛り込まれている。芝生広場での収支について、都はNREG東芝不動産から年に1回の報告を受けることになっている。

公民連携で陸海のアクセスを強化

 さらに、浜松町駅からのアクセスや周囲との回遊性を改善するため、行政協議を行い、横断歩道を移設すると共に、これまで閉鎖されていた日の出ふ頭と竹芝ふ頭を結ぶ連絡橋を耐震化して開通させた。連絡橋の耐震化は都の港湾局が工事費用約1億8800万円を負担し、連絡橋の美装化はNREG東芝不動産が手がけた。

日の出ふ頭と竹芝ふ頭をつなぐ連絡橋(写真:NREG東芝不動産)
日の出ふ頭と竹芝ふ頭をつなぐ連絡橋(写真:NREG東芝不動産)
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 東京都港湾局の担当者は「建物や照明など、雰囲気のいいものが出来上がった。開業前夜の8月2日からは連絡橋のライトアップも行われ、評判を呼んでいる。民間のノウハウを活用できてよかった。(芝浦一丁目計画や竹芝地区再開発計画といった)周辺の再開発事業が竣工すれば、日の出ふ頭を含めて、人々が回遊するようになり、舟運活性化につながるものと期待している」と話す。

建物だけでなく連絡橋(写真左奥)もライトアップ。照明デザインを手がけたのは、石井リーサ明理氏(写真:NREG東芝不動産)
建物だけでなく連絡橋(写真左奥)もライトアップ。照明デザインを手がけたのは、石井リーサ明理氏(写真:NREG東芝不動産)
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 都は、Hi-NODE前面の水域において桟橋を改修・新設した。日の出ふ頭には、従前から都が整備・運営する公共桟橋が2つあり、いずれも主に東京都観光汽船による水上バスの発着に利用されてきた。そこで、都は3つ目の桟橋を設けて、利用の間口を広げることとした。新桟橋は長さ40メートル、幅9メートルで、屋形船や小型船クルーズなど、不定期の発着に対応する(桟橋建設費は近く公表予定)。「日の出ふ頭は、利用者が年間150万人と東京港で最多。今後は不定期の就航を受け入れ、さらに利用を拡大する」(港湾局の担当者)という。

竹芝ふ頭からHi-NODEを見る。手前の桟橋は都が新設した3つ目の桟橋(写真:NREG東芝不動産)
竹芝ふ頭からHi-NODEを見る。手前の桟橋は都が新設した3つ目の桟橋(写真:NREG東芝不動産)
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Hi-NODE2階の外廊下。2階には港湾局の桟橋管理用の事務室もある(写真:赤坂 麻実)
Hi-NODE2階の外廊下。2階には港湾局の桟橋管理用の事務室もある(写真:赤坂 麻実)
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