空き家や空き地の活用を進めようと、その売り手・貸し手と買い手・借り手のマッチングを図る場として、各地で主に自治体が運営する空き家・空き地バンク。そこで成約件数の多さを誇るのが、栃木県栃木市だ。移住関連の情報誌で、「成約件数ナンバー1(2017年度)」として紹介されたこともある。その背後には、どのような取り組みがあるのか。人気の秘密を探る。
まず、下の表をご覧いただきたい。この表は、栃木県栃木市が運用する空き家・空き地バンクである「あったか住まいるバンク」(以下、「住まいるバンク」)の2013年度から2018年度までの登録・成約件数をまとめたものだ。
物件登録件数は2018年8月現在、延べ277件。このうち65%近い物件はすでに成約に至ったか契約締結に向けて交渉中の段階だ。
宝島社が発行する月刊情報誌「田舎暮らしの本」2018年2月号によれば、全国の空き家・空き地バンクの中で2017年度の成約件数が最も多い「成約件数ナンバー1」となったのが、この栃木市。2017年10月現在、売買34件、賃貸借7件と、成約件数は合計で41件を数える。
2位は香川県小豆島町の36件、3位は静岡県小山町の32件、と続く。これらはともに売買より賃貸借の成約のほうが多い自治体。栃木市と同じ売買中心型で言えば、群馬県桐生市が、売買27件と賃貸借4件の合計31件で4位に入る。
成約件数トップの栃木市は人口約16万人。宇都宮市や小山市に次ぐ栃木県第三の都市だ。蔵造りの町並みが残る観光地としても知られる。東京との間はJRや東武鉄道で1~2時間で結ばれ、通勤圏とも言える立地だ。
その栃木市で空き家・空き地の成約が多いのは、なぜなのか――。以下、空き家・空き地の活用に向けた同市の取り組みを見ていこう。