群馬県中之条町で活動する「中之条パワー」(群馬県中之条町、図1)は、地域新電力の草分けとして知られる存在である。2015年12月に設立し、親会社の一般社団法人中之条電力から特定規模電気事業者の営業を継承した。
親会社の中之条電力が、2013年8月の設立であることから、同社が国内初の地方自治体が主導する地域新電力だという。エネルギーの地産地消を目指し、設立以来、町が運営している再生可能エネルギー発電所の発電電力を、町内で活用してきた(図2、関連記事)。
この中之条パワーが今年8月、本社を町役場内から、今までより少し駅(JR吾妻線中之条駅)に近い、自営業者が集まる地区に移し、新たな取り組みを始めつつある。
自営業者が集まる地域に本社を移す
本社を町役場内から自営業者が集まる地域に移した理由は、事務所が手狭になったためである。地元からの雇用を増やすとともに、山本政雄代表取締役が本来のトップとしての仕事にできるだけ専念し、次の展開につなげていく環境を整える。
中之条パワーは、山本代表取締役と事務などを担当する専任者1人の計2人で運営してきた。2017年度以降、契約先が大幅に増えたことで、請求などに要する事務作業量が増え、現在は山本代表取締役もこうした作業に少なくない時間を充てざるを得ない状況にある。そこで、専任者をもう1人増やす予定で、そのために広いオフィスへの移転を決めた。
移転したのは、町が所有する土地にあるプレハブの建物だ(図3)。土地を借りていた労働組合系の団体が建物を撤去せずに去ったため、残された建物は町の所有となっていた。今回、中之条パワーが土地と建物を借りることで、土地と建物の賃借料が、町の新たな収入として増えることにも寄与した。
中之条パワーが次に目指すのは、町の施設だけでなく、町内の企業や自営業者にも、広く電力を供給していくことである。「まずは、新たな本社がある地域に根付き、ここから新たなネットワークを築いて広げていきたい」と山本代表取締役は意気込む。
この地区に所属する企業として、区費を支払い、地区の活動に参加する。新たな本社となったプレハブ建物内の改修や修繕、模様替えは、近くの企業に委託する。町の商工会にも加盟し、近隣の祭りなどにも、企業として参加する。