こうして、地元の企業や自営業者との付き合いが増え始めると、地元企業間の普段の取引の多さや深さに気づくという。町の企業の一つとして、普段の付き合いから仲間として認めてもらい、地元企業や自営業者のきずなの深い地域において、こうした企業や自営業者との契約数を増やしていきたい考えだ。

 電力の地産地消を通じて、地元に新たな雇用を生み出す、新たなネットワークを生み出す、さまざまな機会を通じてできるだけ地元でお金が回り、活性化している触媒のような存在になるという、同社の方針に少しずつ近づいているようだ。

経営が安定し、本社移転が可能に

 中之条パワーの山本代表取締役によると、こうして次の段階に踏み出せるようになったのは、経営状況がある程度、安定してきたからだという。

 具体的には、2017年度以降、同社の経営が好転して同年度に黒字化し、2018年度は税引前で約2000万円の黒字を計上した。

 実は、2016年度は同社が予想していた以上に経営環境が悪化し、約800万円の赤字となっていた。主な理由は、再エネ発電電力の固定価格買取制度(FIT)の運用における、交付金や裁定取引関連の変更に伴うものだった。FITを活用した再エネ発電所の発電電力の転売防止を目的とした運用の変更で、山本代表取締役によると「正当な取引を続けていることを主張し続けたものの、(同社から見ると)経営上、不利になる対応が続いたことが影響した」という。

 さらに、この年度は、大雪による発電量の低下と、同じタイミングでの市場価格の高騰によって収益が悪化した。

 2017~18年度はその状況から好転した。販売電力量が2016年度の444.3万kWhから、17年度は約848.8万kWhに、さらに18年度は約2割増え、金額では約3割の増加となったとしている。

 販売電力量の増加は、電力供給先となる主に公共施設が増えたことによる。2017年度には、中之条町、東吾妻町、高山村が共同で運営しているゴミ処理施設が供給先に加わった。また、同年度末に中之条町の施設のうち、低圧配電線から購入している約400カ所が、中之条パワーからの購入に切り替わった。これによって、町内の公共施設の電力は、街灯などを除いてほぼすべて中之条パワーが供給している。

 そして、2019年度は、より安定感が増してきたという。4~6月は市場環境が良くない中でも700万~800万円の黒字となり、その後の7月は、前年よりスポット市場の環境がよく、より良い経営状態が続いているという。