ユーザーの事務手続きを簡素化

 2017~18年にかけての町の低圧の公共施設の切り替えの裏には、目立たないものの、重要な手続き上の変更が大きく関わっていた。旧・一般電気事業者から新電力に電力購入を切り替えると、表面上は電力購入コストが安くなる利点がある。とはいっても、実際には、月ごとの料金支払いの手続きが煩雑になり、全体のコストが下がっているのかどうかわからないような悪影響が生じることが少なくない。

 中之条町の場合も、東京電力グループから電力を購入していた時期には、毎月の支払いは銀行口座から自動的に引き落とされ、その数値がそのまま会計システムに送られて処理されるような、事務手続きの負担が少ない取引だった。

 これが、中之条パワーからの電力購入に切り替えた後、紙ベースの請求書が町に送られ、担当者はその請求書をもとに起票し、処理するという煩雑な処理が生じることになった。当初の30カ所(図4)の公共施設での電力購入は、1カ所ごとにこの手法で処理されていた。これでは、購入施設が増えるほど、業務の手間は増していく。

図4●左から中之条町役場、ふるさと交流センター、四万清流の湯、自動車教習所(出所:中之条パワー)
図4●左から中之条町役場、ふるさと交流センター、四万清流の湯、自動車教習所(出所:中之条パワー)
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 中之条パワーの山本代表取締役は、町役場で職員としての勤務経験が長い。こうした手間の煩雑さを知るからこそ、地域新電力に切り替えても、東電からの購入と同じように、スムーズに処理できる状況を整備することを急いだ。

 2017年度末頃に切り替わった後の約400カ所の処理は、東電からの購入と同じように、銀行口座からの引き落としとそのデータ処理だけで処理できるようになった。町の関係者、金融機関との協議を繰り返すことで実現した。

 山本代表取締役は、「いくら表面上の電力購入コストが下がるといっても、町の担当者の業務を煩雑にするような変化は、不評しか生まない。地元に根付いて、地産地消して経済を回すというからには、業務の負担も最小化できるのが望ましい姿だ」と強調する。