値上げと、卒FIT住宅への対応

 経営状況の改善には、町の協力もあった。2017年度から、売電単価の値上げを受け入れたのだ。2016年度の中之条パワーの経営不信は、市場変動リスクを吸収しきれないことがあるレベルの単価の設定にもあることを、町も理解した。

 2016年度まで、町の公共施設の電力購入コストは、平均で約10%下がった。これを平均で約3%ポイント上げるような料金に変え、現在は平均で約7%下がっている状況に抑えた。各地の新電力や一般電気事業者も、こうした料金形態に変えつつあり、どの電力会社にとっても難しい価格設定だったのではないかと振り返る。

 2016年度に始めた住宅向けへの電力供給は、町内を中心に135世帯と契約している。中之条町ではふるさと納税の返礼として、中之条パワーの電力を供給する取り組みを始めている。このふるさと納税分の供給先の住宅も、約50世帯ある。

 また、住宅では、居住者が自宅に設置した太陽光発電システムの、再エネ発電電力の固定価格買取制度(FIT)を活用した売電の期間が終わった後の活用法、いわゆる卒FITの住宅の太陽光発電電力をいかに適切に地域内で活用できるのかが、地産地消をうたう地域新電力に求められている。

 中之条パワーでも、町と連携し、卒FIT住宅の太陽光発電電力の取り込みを模索している。自治体支援サービスなどを手掛けるIT(情報技術)関連企業のトラストバンク(東京都目黒区)と、中之条電力に出資し、町における地産地消に深く関わる新電力のV-Power(東京都品川区)による、卒FIT住宅太陽光の余剰電力を地方自治体に寄付・売電できるサービスを活用する(関連記事)。

 このサービスでは、余った太陽光発電電力を、対象となる地方自治体を選んで公共施設などに寄付・売電できる。寄付の返礼品として、地域ポイントや特産品を還元することを検討している。電力会社を選んで信託し、収益を得ることもできる。寄付先として、中之条町は参画を表明しており、中之条町への寄付分の電力は中之条パワーが町内の契約先への売電に使う。

 新たな仕組みだけに、現在は、寄付や地域ポイントの還元の具体的な方法、この電力を使った際の小売価格の値下げ幅、値下げに必要な原資の確保の方法などを調整しているという。