開業から四半世紀、大規模改修のタイミングで民間の活力を

 笠間市から見た本施設の開発ストーリーを振り返る。ETOWA KASAMAの前身であるあたご天狗の森スカイロッジが誕生したのは、1994年。市町合併で笠間市となる以前の岩間町が開設した。滝田課長によれば、施設は当時、家族連れに人気だったという。

スカイロッジ時代のパンフレットより。屋根の色などが現在とは違っている。畳敷きの客室もあった。内装から受ける印象が現在とは大きく異なる(提供:笠間市)
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スカイロッジ時代のパンフレットより。屋根の色などが現在とは違っている。畳敷きの客室もあった。内装から受ける印象が現在とは大きく異なる(提供:笠間市)
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スカイロッジ時代のパンフレットより。屋根の色などが現在とは違っている。畳敷きの客室もあった。内装から受ける印象が現在とは大きく異なる(提供:笠間市)

 「ロッジが目新しかったこともあって順調に利用者が増え、開業2~3年目には、年間約1万2000人(バーベキュー広場を利用する日帰り客を含む)が利用した。畳敷きで大勢が寝泊まりできる部屋もあったので、夏休みシーズンには地元の子ども会やスポーツ少年団の利用も多かった」。

 しかし、その開業2~3年目をピークに、利用客は減少傾向に転じた。笠間観光協会が朝食や鍋料理(冬季)を提供するなどのサービスを始めたことで一時は盛り返したものの、2015年以降は再び利用減が続いた。

 笠間市産業経済部観光課の中山考司主査は「利用者数を維持するには、新しいサービスを継続的に生み出す必要がある。施設が老朽化して大規模改修が必要な時期だったこともあり、この機会に指定管理以上の公民連携の形を模索することになった」と説明する。

 笠間市は、公民連携事業の提案を公募し、コスモスイニシアだけが応募。審査委員会の評価を経て、市は2019年9月にコスモスイニシアを事業者に選定した。同社の提案は、誘客促進や、(宿泊客の)市内への回遊性、地場産品の積極的な使用といった要件を満たしていたことなどが評価された。

笠間市産業経済部観光課の滝田憲二課長(中央)、中山考司主査(左)、コスモスイニシアR&D部門新規事業推進二課の北川雄喜氏(右)(写真:赤坂 麻実)
笠間市産業経済部観光課の滝田憲二課長(中央)、中山考司主査(左)、コスモスイニシアR&D部門新規事業推進二課の北川雄喜氏(右)(写真:赤坂 麻実)
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 コスモスイニシアと笠間市は、従来から連携を取っていた。例えば、笠間版CCRC(Continuing Care Retirement Community)の基本計画策定に携わる委員会にコスモスイニシアの役員が参画したり、市内の学校統廃合に伴う跡地利用に関するヒアリングに同社が応じたりしていた。慶應義塾大学SFC研究所のシェアタウン・コンソーシアムには、コスモスイニシアが幹事会員として、笠間市が行政会員として、参画している。

 そうした関係があったことから、市がスカイロッジ再生という課題についてコスモスイニシアに相談したところ、「民間事業者にとっても可能性を感じられる場所・施設だという評価だったことから、公募を決めた」(滝田課長)という。