コスモスイニシアとして、PPPによるレジャー領域進出の第一弾

 一方、コスモスイニシアにとって、本事業は、同社がかねて挑戦したいと考えていた「公的不動産の活性化」と「アウトドアリゾート」の二つを実現するチャンスだった。

SUITE CABINのデッキは特に広く、2家族が集まってリビングのように団らんを楽しむこともできる(写真:日経BP)
SUITE CABINのデッキは特に広く、2家族が集まってリビングのように団らんを楽しむこともできる(写真:日経BP)
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SUITE CABINからの眺め(写真:日経BP)
SUITE CABINからの眺め(写真:日経BP)
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 「当社では今後、ますます増えるであろう遊休状態(もしくは活性化を必要としている状態)の公的不動産に着目していた。また、当社はお客さまに首都圏で住まいを提供している。そうしたお客さまの働き方が変わりゆくときに生じるニーズに応えたいと考えていた。働く場所が固定されない、余暇の時間が増えるといったことが考えられるので、レジャー・エンタメ分野に進出したい思いがあった。当社は既に、主としてインバウンド需要を充足するホテルを東京と京都で運営しているが、アウトドアリゾートは初めて」(北川氏)。

 現地に事業成功の可能性を見出したのは、東京から自動車でも電車でも約90分と比較的近く、かつ標高306メートルの山頂付近からの眺望や、周辺の焼き物文化(笠間焼・益子焼)、地元産の食材など、観光資源が豊かだからだという。

SKY CABINの内装(写真:赤坂 麻実)
SKY CABINの内装(写真:赤坂 麻実)
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SKY CABINの寝室。客室にはあえてテレビを置かず、Wi-Fiも用意していない(写真:日経BP)
SKY CABINの寝室。客室にはあえてテレビを置かず、Wi-Fiも用意していない(写真:日経BP)
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 ETOWA KASAMAでは地元の農業公社から農産物の供給を受けている。また、夕食の主菜には常陸牛や常陸鶏、ローズポークといった地元のブランド肉を採用し、「地の物が食べたい」という観光客のニーズに応えている。

23時以降は「サイレントタイム(静寂の時間)」と定め、照明を落とす(写真:コスモスイニシア)
23時以降は「サイレントタイム(静寂の時間)」と定め、照明を落とす(写真:コスモスイニシア)
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 食事をはじめとするサービスを充実させたこともあり、宿泊料はスカイロッジ時代に比べて、高く設定した。スカイロッジは4人用ログハウスの休前日の宿泊料(素泊まり)が1棟単位で1万7200円(税込)だったが、ETOWA KASAMAでは4人用ログハウス「SKY CABIN」に11月の休前日に宿泊すると夕食・朝食がついて1棟5万~7万円程度(税別、利用人数による)だ。

9月の利用者はリノベ前の2倍を突破

 初年度(7月18日から12月31日)の目標は利用者4500人。稼働率では、リノベーション前の40%前後に対し、50%超を目指しており、いずれも達成する見通しという。

FOREST CABINの並び(上)と内装(右)(写真:2点とも赤坂 麻実)
FOREST CABINの並び(上)と内装(右)(写真:2点とも赤坂 麻実)
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 現在までの利用状況・予約状況は好調だ。7月18日から8月17日の茨城県在住者限定の先行オープン期間は、連日ほぼ満室。8月18日のグランドオープン以降も9月末まで満室が続いている。9月の利用者数はリノベーション前の2018年同月比で2倍超になる。10月も週末はほぼ予約で埋まり、平日も7割ほどの稼働という(※9月17日現在の予約状況)。

 「本施設は分棟タイプのアウトドア型宿泊施設。いわゆる“三密”を避けやすいこともあって、コロナ禍で客足が鈍るといった負の影響は少ないようだ」と北川氏はみている。

管理棟ログハウスの外観(上)管理棟にもシャワールームが用意されている(右)(写真:2点とも赤坂 麻実)
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管理棟ログハウスの外観(上)管理棟にもシャワールームが用意されている(右)(写真:2点とも赤坂 麻実)
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管理棟ログハウスの外観(上)管理棟にもシャワールームが用意されている(右)(写真:2点とも赤坂 麻実)

 客層は、未就学児のいる若いファミリー層が中心で、次いで女性グループ、カップルなどとなっている。県内の利用が66%を占めており(2020年9月実績)、スカイロッジの2018年実績では76%だったのに比べると、県外からの利用率が上がっている。ただし、「東京都内からは14%にとどまっていて、これはコロナ禍が影響したとみられる」(北川氏)。

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管理棟の2階 (左写真:赤坂 麻実)には、打ち合わせをしたり、雨天の際にバーベキューをしたりできるスペースが。コスモスイニシアは、ワーケーション利用にも対応したい考え。キャビンやテントには地元・笠間焼のコーヒーカップが用意されている(上写真:日経BP)
管理棟の2階 (左写真:赤坂 麻実)には、打ち合わせをしたり、雨天の際にバーベキューをしたりできるスペースが。コスモスイニシアは、ワーケーション利用にも対応したい考え。キャビンやテントには地元・笠間焼のコーヒーカップが用意されている(上写真:日経BP)
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 今後の課題は、二次交通だ。現在は、自動車を運転しない利用者は、笠間駅から自己負担でタクシーを利用することになる。「今後は当社が何らかの送迎サービスを提供するのか、市のモビリティと連携して提供するのかなど、検討や協議を進めていく。また、(笠間城跡や焼き物の窯元などの)笠間市の観光エリアはETOWA KASAMAからも鉄道駅からも距離があるので、併せて回遊性を改善したい」とした。

 加えて、笠間観光協会との連携を深め、協会や会員企業が提供している着地型ツアーとETOWA KASAMAの宿泊を組み合わせて提供することも検討したいとする。市内に複数あるゴルフ場でのゴルフとセットにしたツアーも今後用意する考えだ。

笠間市(かさまし)
笠間市(かさまし)
茨城県中部の県央地域に位置する。首都圏から約100キロメートル、県庁所在地の水戸市に隣接する。人口7万3664人(2020年10月1日現在)、面積240.40km2。江戸時代中期、安永年間(1772~1781年)に始まる笠間焼は、近隣の益子町の益子焼と合わせて「焼き物文化(笠間焼・益子焼)」として、2020年6月に日本遺産に認定された