3社のパネルに「スネイルトレイル」

 運転開始から6年目に入り、設置した30種類の太陽光パネルの発電量にどのような違いが出てきたのか。太陽光発電産業に従事する人ならば、誰でも関心のあるところだ。

 福島発電では、産業技術総合研究所・福島再生可能エネルギー研究所(FREA)とも連携しつつ、30種類のパネルの性能に関して、検証してきた。

 最大の注目点は、「設備利用率」の違いだ。設備利用率とは、定格出力で発電し続けたと仮定した時の年間の発電量に対して、実際の発電量がその何割になるかを示したもの。日照の違いに左右されるが、同じ日照の場合はパネル間の発電特性の違いが出る。定格出力は、一定の条件下での変換効率を示すが、設備利用率は時々刻々と変化する日照条件を通じて、いかに発電するかを示す。日射量が減る朝夕の時間帯や曇りでも発電量を稼げると、高くなりやすい。発電事業者にとっては、収支を計算する重要な指標になる。

 「ソーラーパーク」では1つの敷地内に30種のパネルを同じ向き、同じ角度で設置しているため、ほぼ同じ気象条件下で、設備利用率を比較できる。

 福島発電では、空港メガソーラー全体の設備利用率については年間で約14%としているが、パネル30種個別の設備利用率は公表していない。ただ、大まかな傾向は明らかにしている。福島発電で空港メガソーラーに駐在・管理している阿部美幸さんによると、「パネル30種の設備利用率の違いに関しては、発電特性の異なる薄膜系を除いた結晶シリコン系では、年間を通じてみると、概ね1ポイント内に収まっており、大きな差がないことがわかってきた」と話す。

 今年7月末に、「ソーラーパーク」で30種のパネルを見学したところ、日本の伊藤組モテック(多結晶シリコン型・250W/枚)と中国ハレオンソーラー(多結晶シリコン型・250W/枚)、インドのモーザーベア・ソーラー・リミテッド(多結晶シリコン型・245W/枚)の太陽光パネルには、部分的に「スネイルトレイル」の現象が見られた(図5)(図6)(図7)。

図5●福島空港メガソーラーで見られる「スネイルトレイル」の一例
図5●福島空港メガソーラーで見られる「スネイルトレイル」の一例
(出所:日経BP)
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図6●「スネイルトレイル」の一例。マイクロクラックが原因で発生する
図6●「スネイルトレイル」の一例。マイクロクラックが原因で発生する
(出所:日経BP)
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図7●「スネイルトレイル」の一例。いまのところ発電量に変化は見られないという
図7●「スネイルトレイル」の一例。いまのところ発電量に変化は見られないという
(出所:日経BP)
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 「スネイルトレイル」とは、太陽電池セル(発電素子)の表面に、黒色、または白色の線状の模様が発生する現象を差す。カタツムリ(スネイル)が、はうように歩いた跡(トレイル)のように見えることから、「スネイルトレイル」と呼ばれている。

 セルのマイクロクラック(微細な割れ)に沿って発生するが、すぐに発電量が減少することはない。ただ、将来的に発電量の顕著な低下につながる恐れがあるため、O&M(運営・保守)の現場では、「要経過観察」とされることが多い。

 福島発電の阿部さんによると、「スネイルトレイルの発生しているパネルに関しても、いまのところ目立った発電量の変化は見られない」と言う。