系統容量がなく「逆潮ゼロ」に挑戦

 このメガソーラーは、IHIの建設・運営している「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」の施設の1つとなる。IHIは、今年4月に同センターの開所式を開催した。5万4000m2の敷地内に出力1.6MWの太陽光発電設備のほか、容量2500kWhの蓄電池などを設置した(図3)。

図3●2.5MWhのリチウムイオン蓄電池(出所:日経BP)
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 同社は1998年から航空宇宙事業本部の生産拠点として相馬市に工場を建設・運営していることもあり、震災後、市と協力し、復興計画と連動したスマートコミュニティ事業に取り組むことになった。コンセプトは、「再エネの地産地消」「防災機能の強化」「地域活性化につながる先進的な事業」、具体的には「水素」システムの活用を掲げた。

 スマートコミュニティ事業のなかでメガソーラー設備を導入する場合、系統連系したうえでFITによる売電で事業性を確保しつつ、地域新電力などを通じてメガソーラーの電力を地域周辺に供給するパターンが多い。

 実は、IHIと相馬市も、2014年にスマートコミュニティ計画を検討し始めた当初、メガソーラーを東北電力の送電線と接続したうえで、その電力を調達して地域に供給するようなイメージで進めていた。しかし、計画途中で近くの電力系統に空き容量がないことが分かり、「逆潮流ゼロ」つまり余剰電力の売電は一切ないことが前提になった。

 そこで、メガソーラーの電力を自営線で隣接する下水処理場に供給することにした。ただ、下水処理場は、東北電力からも買電できるようにしておくことで、電力系統から完全に自立させたマイクログリッドに比べ、蓄電池などへの投資負担を減らした。