20年の長期建物賃貸借契約が再生のカギ

 「ゆうパークは当社のあるときがわ町の近隣にあり、私たちもよく知っている施設。当社が地方創生に力を入れていることもあって引き受けた」と温泉道場社長の山崎寿樹氏。

温泉道場の山崎寿樹社長。船井総合研究所時代に温浴ビジネスチームに所属し、日帰り温泉に特化したコンサルティングを行う。2011年に温泉道場を設立。マーケティング力を生かして、温浴施設の事業再生に取り組む。コミュニティのハブとなるお風呂の運営を通じて地域社会と連携し、地域の活性化や地域の担い手となる人づくりに貢献することをミッションとして取り組む(写真:高山透)
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 温泉道場が開発の条件としたのが、20年の長期の賃貸借契約。町では、施設を条例で行政財産から普通財産に転換し、定期建物賃貸借契約を温泉道場と結んで、建物に付随する土地約5万1645m2は自由に使えるようにした。最初の3年間は賃借料ゼロで、4年目と5年目は年額250万円、以降は750万円を町に支払う内容だ。

 「指定管理のほうが、リスクは少ない。ただ、制約は多くなり、温泉道場がやる意味がなくなる。自分たちでリスクを背負い、投資もして、自分たちの裁量で自由に開発できるような契約形態にしてもらった」という。事業化に際しては、施設の老朽化のため、町から3000万円の修繕費が拠出されたが、温泉道場も現在までに約3億円を投資して施設整備を進めている。

 指定管理者制度は、自治体など公的施設の管理・運営を民間事業者などに代行させるもの。民間のノウハウを生かして、コスト削減やサービスの向上も期待されるが、公の施設としての運営であり、業務内容は仕様書で細かく決められていることが多く、民間の創意工夫の余地は限定的になりがちである。越生町での20年の定期借家契約による事業再生は、経営難や老朽化した公的施設の活性化、スリム化のための手法としても注目され、町や事業者への問い合わせも多い。温泉道場では、視察研修ツアーの申し込みも受付中だ。

 同社としても、自治体の資産を活用しての施設運営はオーパークおごせが初めてとなる。「我々も自治体の制度を勉強して、実現可能なスキームを提案した。賃貸借契約など、町の弾力的な対応があって今回の事業は実現できた。町には情報発信や視察、イベントの協賛など協力してもらう事もあるが、過度に依存することなく、いい関係を維持できている。『町が協力しています』と言ってもらえるだけで、交渉や調達などスムーズに進む」という。