夜間イベントやMICEで街との連携目指す

 KNT関西が属するKNT-CTホールディングスグループは現在、地域密着型の観光サービスを推し進めている。2017年10月以降に実施した分社化は、その一環になる。「旅行会社にとって、既成の観光ツアーを中心に販売していればよい時代は終わった。行政や地元の商工会、JAなどと組んで地域の観光資源の開発やイベントの商品化を進め、発信していくことが求められている」と細川部長は話す。

 姫路城でもKNT関西は、3年契約となる管理運営の業務範囲にとどまらず、集客を盛り上げる試みに積極的に関与している。世界文化遺産25周年を記念した夜間のイルミネーションイベント「姫路城光の庭(CASTLE OF LIGHT)」 はその1つだ。企画と実施業務の事業者を公募したプロポーザルが2月に行われ、KNT関西が選ばれた。

 同イベントは、2018年11月16日から12月2日までの17日間開かれる。15mを超える高さのキューブを三の丸広場に設け、映像作家の三谷正氏が手掛ける光と音のインスタレーションで城の建築美や歴史を表現。西の丸庭園と百間廊下ではLED提灯を貸し出し、来城者が放つ幻想的な光の動きを楽しんでもらう。

 「単に夜間イベントに人を集めるのではなく、訪れた人が夜の街も合わせて楽しめるようにしていくことが大切。イベントをきっかけにして商店街との連携を探っていきたい」と諏訪氏は話す。単体のイベントだけでなく、来年度の姫路城VRスコープのテーマを城下町とし、来城者に街巡りを促すコンテンツづくりも計画中だ。

「姫路城光の庭(CASTLE OF LIGHT)」のポスター(写真:近畿日本ツーリスト関西)
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 KNT関西の取り組みの背景には、姫路城と周辺の街の動きが必ずしも連動していない現状がある。

 JR姫路駅北側の駅前広場と駅前道路こそ2015年の姫路城グランドオープンに合わせて再整備され、城を正面から眺望できるデッキなどが誕生した。しかし駅から城に通じる大手前通りの一帯は中層のビルが建ち並び、観光客向きの店があまりない。市の担当部署も、姫路城、市立動物園などの姫路城周辺施設、商店街ではそれぞれ異なり、運営管理面で連携しにくい面もあるようだ。実際、市の「姫路市観光戦略プラン」では、観光客の来訪が市内での飲食や買い物、宿泊といった消費行動に反映されていない点を課題に挙げている。

JR姫路駅の眺望デッキから姫路城を見る。正面に延びる大手前通りの右へ一区画入った通りが商店街になっている(写真:守山 久子)
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JR姫路駅北側の広場まわり。木で覆われた眺望デッキ(中央)や水辺のある地下広場(左手)を設けている(写真:守山 久子)
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 こうしたなか、滞在型観光の強化に向けて姫路市が掲げる施策の1つがMICEの誘致拡大だ。2021年度の完成を目指してJR姫路駅の東側に文化コンベンションセンターの計画が進み、ホテルの建設が相次ぐ。これらを念頭に今年7月、市は「ユニークベニューHIMEJIプラン」を開始した。姫路城をはじめとする市内の文化施設9カ所をレセプションパーティーや展示会などに開放する。

 実施内容の計画や申し込みといった利用の手続きは、市が認定するコーディネーターを通して行う。2018年10月現在、コーディネーターとして認定しているのはJTとKNT関西の2社。姫路城では7月に、各国の青年会議所が集まる「第31回国際アカデミーin姫路」がJTBのコーディネートで開催された。

 街の活性化とからめて姫路城を活用する仕組みは、少しずつ整ってきている。「2020年には来城者200万人を達成したい」(細川部長)という姫路城のポテンシャルを、いかに街の活力へと結び付けるか。KNT関西は、そんなソフト面での知恵が期待されていることを自認している。