市民の活力を行政に反映させる

 「生駒市は、もともと市民の活動がさかんでした。市民の活力を行政に反映させる一助になればと考えて様々な活動を展開しています」と述べるのは、市民との窓口である生駒市地域活力創生部 市民活動推進センター「ららポート」所長の西野貴子氏だ。

 生駒市には、保健、医療または福祉の増進、また里山を守るなど環境の保全を図るといったボランティア活動を行う組織が約87団体あるという。IKOMA Civic Tech Award 2016の運営に携わったCode for Ikoma(代表:佐藤拓也氏)は、そうした登録活動団体の1つで、2014年1月に立ち上げられたシビックテックコミュニティだ。奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 ユビキタスコンピューティングシステム研究室とも「オープンデータの収集やデータシティの実現」というテーマで連携している。

 「IT系の団体数はまだ少ないですが、様々な団体が生駒市では活動を展開しています。ららポートはそうした団体の活動を様々な形で支援をしています。市が直接運営している施設ですので、行政に声を反映しやすいなど、市と市民の距離が近いのが特徴です」と、 西野氏と同じくららポートに勤務する生駒市地域活力創生部市民活動推進センターの西田善宏氏はいう。

 西野氏も、ららポートに異動する以前の2015年3月、生駒市と共同開催した、子育てをテーマに地域に役に立つWEBアプリなどについて考え、プロトタイプをつくるイベント「iko mama papaアプリ開発提案プロジェクト」において、生駒市図書館司書(当時)の立場で子供におすすめの本を提案するアプリを開発するチームに参加した。

 「お母さん達の思いやアイデアに触れることができて、とても良い機会でした。出てきたアイデアを受け取って形にしてくれる技術者やデザイナーなど、生駒市に暮らす人々の優秀さや知見の広さもあらためて感じました」と西野氏は振り返る。この時のアイデアワークショップには、小紫雅史副市長(現・生駒市長)も参加するなど、自治体トップのリーダーシップもオープンデータの活用を後押しした。

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市民活動推進センター「ららポート」所長の西野氏(左)と同所勤務の西田氏(写真:柏崎 吉一)

 河中氏は「イベントでは実際にアプリを利用した人から便利だね、と感謝されるのが嬉しかった」と述べる。松田氏は「こういうイベントは、学生の声を行政に聞いてもらえる良い機会の一つです」という。学生にとっても得がたい貴重な社会経験になったことがうかがえる。