下水使用料の収入低下に備える

 埼玉県下水道局がメガソーラーによる売電に乗り出した背景には、下水道局の事業環境がある。同局による下水道の運営は、「地方公営企業法」に基づくもので、企業と同じような事業活動ができる半面、下水道の利用料などによる収益のみで運営することが求められている。

 収益を大きく左右するのは、処理する下水の水量となる。水量に基づいて利用料が決められているためである。

 今後、日本の人口は減少すると予想されている。首都圏に位置する埼玉県でも居住人口は漸減する。住む人が減れば、当然、下水の水量は減る。下水道普及率の向上による押し上げ効果は残っているものの、長期的に下水事業の収入は下降線をたどると予想される。そうした状況でも収益を確保できる体制を確立する必要がある。

 そのための対策の一つが、FITを活用した再生可能エネルギー関連事業への参入だった。メガソーラーによる売電のほか、バイオガス発電所への燃料供給に取り組む。

 バイオガス発電への燃料供給は、下水処理場の特徴をより生かしたものとなっている。下水の処理に伴って発生する汚泥を処理・分解する工程で生じるメタンガスを、バイオガス発電の燃料として発電事業者に供給する。

 バイオガス発電所は、メガソーラーの設置と同様に、水循環センター内に設置される。

 まず、桶川市にある元荒川水循環センター内に、大原鉄工所(新潟県長岡市)が運営するバイオガス発電所が設置され、2019年4月から売電を開始する予定となっている。定格出力は400kW、年間発電量は一般家庭500世帯の消費電力に相当する270万kWh、売電価格は39円/kWh(税抜き)となっている。

 これらの事業は、下水道の関連事業として、運営することが認められている。

 一方、太陽光発電は、広大な面積を持つ下水処理場内の土地を有効利用する。こうした取り組みは、すでに全国に100カ所ほどの先例があるという。