東芝グループが担当、下水処理場も知る強み

 中川水循環センター、小山川水循環センターとも、太陽光発電設備の導入、リース、維持管理は、いずれも東芝グループによる共同企業体が担当している。

 それぞれIBJL東芝リースが共同企業体の代表を務め、設備の導入は東芝、維持管理は東芝電機サービスが担当している。太陽光パネルは東芝製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 PCSは、いずれのメガソーラーとも、出力100kWを1台、含んでいる(図5)。この出力100kW機は、自立運転用の回路も備えている。通常は連系用に出力するが、災害時などの非常時には、回路を切り替えて自立運転する。PCSの筐体内に設置したコンセントなどに送電でき、災害時に利用できる仕組みとした。

図5●出力100kWのPCSは自立運転機能も備える
通常は左の連系用で出力し、非常時には右の自立運転用の回路に切り替える(出所:日経BP)
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 基礎は杭基礎を使い、太陽光パネルの設置角は10度、パネル最低部と設置面との高さは40cmを基準とした(図6)。

図6●設置角は10度、高さは40cmを基準とした
全域に防草シートを敷き詰め、雑草による影のリスクを小さくし、高さを抑えた(出所:日経BP)
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 パネルの設置高は、一般的なメガソーラーよりも低い。雑草対策として、敷地の全域に防草シートを敷き詰めていることから、雑草は伸びにくく、雑草による影のリスクが小さいことなどを考慮した。

 下水処理設備は、休日や夜間でも稼働を止められない一方、一般的な工場に比べると搬出入のような出入りは比較的少ない。施工時には、下水処理や関連作業に配慮しつつ、東芝の想定した工程スケジュールをほぼ受け入れてもらえたという。

 下水処理場の通常の通用門ではなく、工事用の通用門を使ったり、設置場所には基本的に下水処理関係の出入りがないなど、下水処理に関連する作業から離れた形で発電設備の設置工事が可能だったことが大きいようだ。

 また、東芝側が、今回のメガソーラーの開発を、下水処理設備を手がける「水・環境システム」関連の事業部や技術部が担当していたことも、工程管理をスムーズにしたという。下水処理場の設備や運用の知見があるため、それを阻害しないためのポイントを知った上で計画を立案できた。下水処理内で関連する作業担当者などを含めた月一回の協議会に出席し、そこでメガソーラーの作業スケジュールも調整した。

 2カ所のメガソーラーとも、2016年6月に本格的な施工をはじめ、9月末に完成、10月1日に売電を開始した。

 工期が夏となったために、作業者の健康管理にも配慮した。空調服(ファンや通風孔つきの作業着)を採用するなどの対策の結果、熱中症などを発症した作業員はいなかったという。

 ただし、8月には、台風が度々、通過し、悪天の影響で遅れが生じた。その後、早朝から作業を開始することで、遅れを取り戻した。

発電所の概要
事業所の名称中川水循環センター
所在地埼玉県三郷市番匠免3-2-2
出力1.988MW
年間平均発電量208万5000kWh
年間最小発電量187万5000kWh
発電事業者埼玉県下水道局
発電設備の導入、リース、維持管理東芝中川水循環センター太陽光発電共同企業体(代表:IBJL東芝リース、設備の導入:東芝、維持管理:東芝電機サービス)
太陽光パネル東芝製(出力250W/枚・7952枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(出力500kW機・4台、同100kW機・1台)
工期2016年6月~9月
売電開始日2016年10月1日
売電価格32円/kWh(税抜き)
売電先東京電力エナジーパートナー