こうして、特定建築者制度の活用が決まった。事業計画書「神戸国際港都建設事業鈴蘭台駅前地区第二種市街地再開発事業 事業計画書(第2回変更)」によると、総事業費(157億2800万円)は、公共施設管理者負担金 61億8600万円、市街地再開発事業費補助金45億900万円、保留床処分金50億3300万円で賄う。事業期間は2013年3月22日から2020年3月31日までだ。なお、大和リースは保留床を一括取得し、管理・運営も担う。保留床として整備した区庁舎部分は、市が20年間の割賦で事業者から購入するというスキームとなっている。

事業スキームの概要(資料:大和リース)
事業スキームの概要(資料:大和リース)

まちの課題を再開発でまとめて解決へ

 神戸市北区の南部に位置する鈴蘭台地区は、かつてニュータウンの開発でファミリー層を中心に人口を増やしていった地区だが、現在は高齢者が多く人口も減少傾向にある。とはいえ、今でも公共施設が集まる北区の玄関口ともいえる地域であり、北区役所の最寄駅である神戸電鉄・鈴蘭台駅は、北区の主要駅の1つだ。

 そして、鈴蘭台駅周辺整備は長年にわたって地元の懸案事項だった。以前の駅前は動線が整理されておらず、歩行者と路線バスやクルマが錯綜しており、安全上の課題があったことから、幹線道路による駅前へのアクセス改善や、土地の高度利用が望まれていた。1980年から地元住民らがまちづくりを議論してきたという経緯がある。

 一方、旧北区役所庁舎は、駅に近いとはいえ、高低差が25メートルの坂の上に建っていたため、特に高齢者や小さな子ども連れの市民は歩いてアクセスしにくく、駐車場は常に満車状態になっていた。老朽化(1973年竣工)や耐震性不足、バリアフリー未対応など、施設維持の課題も抱えていた。

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再開発前の鈴蘭台駅前の様子。人とクルマが錯綜するなど、安全上の課題があった(写真:神戸市)
再開発前の鈴蘭台駅前の様子。人とクルマが錯綜するなど、安全上の課題があった(写真:神戸市)
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区役所以外の公共施設は今も坂を上ったところに位置する(左写真)。上写真は旧・北区役所(写真:2点とも日経BP総研)
区役所以外の公共施設は今も坂を上ったところに位置する(左写真)。上写真は旧・北区役所(写真:2点とも日経BP総研)
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 そこで、市は道路整備、再開発、区役所の移転整備を一体的に行うこととし、2008年度に用地買収などを開始した。2011年9月には「鈴蘭台駅前地区第二種市街地再開発事業」が都市計画決定。再開発ビルは公益施設(区役所)と商業・業務施設を集積し、鈴蘭台駅と直結することとした。駅前の車の流れも“交通整理”して、ビルの1階のピロティ部分をバス・タクシーの乗降スペースとし、別途、歩行者空間も確保した。

ビルの1階のピロティ部分をバス・タクシーの乗降スペースとし、別途、歩行者空間も確保(写真:2点とも日経BP総研)
ビルの1階のピロティ部分をバス・タクシーの乗降スペースとし、別途、歩行者空間も確保(写真:2点とも日経BP総研)
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