神奈川県大和市は自転車の不正駐輪を減らすため、民間のサービスを後押ししている。個人や企業が持つ空きスペースを駐輪場としてシェアする「みんちゅうSHARE-LIN」と連携。市民にサービスの利用を呼び掛けている。駅周辺の駐輪場不足を解消しようという考えだ。

大和市内には鉄道駅が8駅あり、なかでも中央林間駅と大和駅は乗降客数が多い(資料:大和市)
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「みんちゅうSHARE-LIN」サービスに登録された中央林間駅近くの駐輪場。ここではテープを貼って駐輪エリアを明示。アイキューソフィアは黄色テープなどの推奨グッズをオーナー向けに販売しているが、規定は設けていない。オーナーは思い思いの工夫でコストをかけずに空いたスペースを駐輪場として活用できる(写真:赤坂麻実)
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 大和市は人口約23万6000人で増加傾向にあり、市内には鉄道駅が8駅ある。利用者が特に多いのは、小田急電鉄と東京急行電鉄が乗り入れる中央林間駅、小田急電鉄と相模鉄道が乗り入れる大和駅だ。両駅とも1日の乗降客数は10万人を超えている。一方で、両駅周辺の市営駐輪場が再開発に伴って閉鎖されるなど、需要に対して駐輪場の供給不足は近年ますます深刻化していた。

 「新たに市営駐輪場を整備しようにも、駅の近くには用地が見つからない。せっかく時間とコストをかけて整備しても、駅から離れている場所だとなかなか利用されない」。――大和市都市施設部参事 道路安全対策課長の山川歩氏は市の駐輪事情をこのように説明する。こうしたことから、大和市では市営駐輪場の増設とは別の対策を模索するようになった。

 「駅周辺の路上や店舗周辺の不正駐輪を減らすには、自転車利用者が停めたい場所に駐輪場があることが大事」と考え、ITベンチャーのアイキューソフィアが2017年7月に提供を始めた駐輪場シェアサービス「みんちゅうSHARE-LIN」(以下、みんちゅう)に着目した。

 みんちゅうは、スマートフォン向けの専用アプリ(AndroidとiOSに両対応)を使ったサービス。空いた土地・スペースを持ち主が駐輪場として登録し、自転車利用者は登録された駐輪場に予約を入れて使う。オーナーは、基本的には0円で、デッドスペースを駐輪場として活用して収益を上げることが可能だ。一方、利用者は予約時にアプリ上で支払いまで済ませて出かけるので、外出先で駐輪の場所を探したり代金を支払ったりするわずらわしさがない。アプリを運営するアイキューソフィアは、駐輪代の35%を得る仕組みだ。

アイキューソフィアが提供する「みんちゅうSHARE-LIN」サービスの事業スキーム(資料:大和市)
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