都市再生整備計画を基に「河川空間オープン化」制度を活用

 多摩川の河川敷に広がる世田谷区立兵庫島公園では、2016年11月の社会実験「二子玉川水辺キッチンカープロジェクト」を手始めに、飲食・音楽・自然を楽しむワークショップ他を集めた「TAMAGAWA BREW」などのイベントを多数開いている。ただ、国の直轄地との一体利用、河川法に基づく規定などもあり、管轄する行政機関は複数に及んでいるため、イベントごとに許可を得るのは手間がかかっていた。そこで今回は、公的な位置付けの下、より包括的で継続的な取り組みを行うために河川空間オープン化(都市・地域再生等利用区域制度)の制度を利用している。

河川敷に広がる世田谷区立兵庫島公園とアウトドアオフィスの敷地(写真:守山 久子)
河川敷に広がる世田谷区立兵庫島公園とアウトドアオフィスの敷地(写真:守山 久子)
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二子玉川エリアマネジメンツ事務局のメンバー。右から岩上雅則氏、内野洋介氏、三木裕子氏、小林直子氏(写真:日経BP 総合研究所)
二子玉川エリアマネジメンツ事務局のメンバー。右から岩上雅則氏、内野洋介氏、三木裕子氏、小林直子氏(写真:日経BP 総合研究所)
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 国土交通省が進める河川空間のオープン化は、一般には営利活動のできない河川敷空間において、営業活動を行う事業者などの利用を認める仕組みだ。地域で合意を図ることを前提とし、市町村などが策定する都市再生整備計画はその一例になる。

 20年2月に世田谷区から都市再生推進法人の指定を受けた二子玉川エリアマネジメンツは、二子玉川駅周辺エリアの都市再生整備計画の素案をまとめて区に提案した。区は同年10月に都市再生整備計画を策定し、多摩川を管轄する国土交通省関東地方整備局に河川空間オープン化に向けた要望書を提出した。2021年2月、関東地方整備局は、占用主体を二子玉川エリアマネジメンツとしたオープン化を認め、「(二子玉川駅周辺の)多摩川河川敷左岸と世田谷区立兵庫島公園の一部」のエリアを都市・地域再生等利用区画として指定した。

 とはいえ、アウトドアオフィスを実現するには、ほかにもまだ手続きが必要だった。

 浸水域に当たる河川敷を利用するので、河川法に基づく占用許可を受ける際には、使用するテントやテーブル、椅子などを規定時間内に撤去することが求められた。二子玉川エリアマネジメンツは、スタッフが90分で全ての備品を安全なエリアに運び出す手順やルートを設定した撤去計画書をまとめ、関東地方整備局に提出した。

 焚き火の使用に関する手続きもあった。兵庫島公園の占用者は世田谷区長だが、アウトドアオフィスに利用した四角形の敷地だけは例外的に国の直轄エリアになっている。区とも情報共有しながら、焚き火の使用に際して必要な届出を河川事務所と消防に提出した。また、東京都市大学の研究の一環であるということで、その他の細かい手続きや行政との調整も重ねて、アウトドアオフィスの開催にこぎ着けた。なお、この取り組みは二子玉川エリアマネジメンツと東京都市大学との共同研究として、アウトドアオフィス運営の実務内容や利用者へのアンケートなどを基に報告書をまとめる予定だ。

アウトドアオフィスの受付窓口となるテント。看板の横に見える杭は、Mizube Fun Base の敷地の境界を示している。杭で囲まれたエリアは国の直轄地だ(写真:日経BP 総合研究所)
アウトドアオフィスの受付窓口となるテント。看板の横に見える杭は、Mizube Fun Base の敷地の境界を示している。杭で囲まれたエリアは国の直轄地だ(写真:日経BP 総合研究所)
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丸いテーブルとデッキチェアの焚き火席を2組用意した。脇には消火器を備えている(写真左)。上は通常の会議用のテーブル席。長方形のテーブル2つを組み合わせた。出水時には受付テントやのぼりを含めた全ての装備を90分以内で運び出すことになっている(写真:2点とも日経BP 総合研究所)
丸いテーブルとデッキチェアの焚き火席を2組用意した。脇には消火器を備えている(写真左)。上は通常の会議用のテーブル席。長方形のテーブル2つを組み合わせた。出水時には受付テントやのぼりを含めた全ての装備を90分以内で運び出すことになっている(写真:2点とも日経BP 総合研究所)
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