青森県八戸市は、民間のブックアドバイザーの知恵を生かした書店「八戸ブックセンター」の設立や、民間が整備して市が一定時間利用することで料金を支払う多目的アリーナ「フラット八戸」など、ユニークな公民連携を進めている。一方で、まちなかの広場「マチニワ」など、運営を民間に任せてもよさそうな施設を直営で運営している。小林眞市長にこれまでの取り組みのポイントと公民連携についての考え方を聞いた。

(写真:井上 健)
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――空き地の広がる八戸駅西口エリアで、民間企業と連携したアリーナ施設の整備が動き出しました(関連記事)。

 八戸はアイススケートが盛んな土地柄です。八戸市内やその周辺にスケート施設はいくつかあるのですが、多くの市民が利用しており、施設が足りていません。どこも埋まっている状況です。

 一方、八戸駅西口の区画整理事業では、賑わいを生んで広域から人を集めるために用意した区画「集(しゅう)ゾーン」も含め、開発がまだ進んでいません。区画整理事業は、地価が上がることを前提に、生み出した保留地による収益で成り立たせる仕組みですが、地価が下がる状況のなかでは厳しく、計画期間を延長させてきました。

 そうした中で、ゼビオグループのクロススポーツマーケティングから、通年型のアイススケート場としても使え、氷の上に床を敷いて屋内スポーツやイベントにも活用できる多目的アリーナ施設というアイデアをもらいました。何年もかけて協議を進め、ようやく着工にこぎ着けることができました。

――施設は民間事業者が整備して、市が施設を借りて利用するという公民連携のスキームです。

 市は、用地を30年間無償で民間事業者に貸します。施設の整備と運営は、民間が全て行います。一方で市は30年間にわたって毎年1億円を支払うことで2500時間の施設利用権を得て、市民に提供するという形です。費用は、自前で施設を整備する場合と比べ、半分以下程度で進められると判断しました。債務負担行為として市議会から承認をいただきました。

アリーナ建設予定地(2018年10月下旬・写真:日経BP総研)
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八戸駅西地区(駅前周辺)の整備計画の概要(八戸市の資料を一部加工)
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アリーナ一帯の外観イメージ(資料:2017年12月18日発表のクロススポーツマーケティング資料より)

――利用権を得たアリーナをどのように活用していく予定ですか。

 市民向けとしては、社会人、高校、中学のアイスホッケーチームに利用してもらいます。学校のスケート教室の利用も考えられます。学校のプログラムについては、教育委員会とも話し合い、子どもたちがよりスケートと親しめる時間をつくっていけるだろうと思っています。

――市ではアリーナと隣接する公園を整備する計画ですね。

 クロススポーツマーケティングからの提案も参考にしながら、アリーナと連携できるような公園を整備していきます。公園は川をはさんで2カ所になります。手前側(八戸駅側)はアリーナと連動性のある平らな空間です。スポーツの催しやマルシェなどを開けるようにしたいと考えています。川の向こう側は親水空間になると思いますが、詳細はまだ未定です。

 アリーナのフラットクロス(屋根をかけた部分)と呼ばれるエントランスやフラットスペース(屋外のイベントスペース)とも親和性を持たせる方向で、柔軟に考えていきたいと思っています。また、ソフトの部分でも連携は必ず必要になるでしょう。

――駅西口エリアの整備で、ほかに公民連携を考えていることはありますか。

 地域のみなさん、有識者のみなさんと協議会をつくり、アリーナが来ることを前提に、どういう形で賑わいをつくっていくか、機能を集積させるかについて議論をスタートさせたところです。まだ何もない場所なので、これからです。