ロート製薬など民間企業三社が連携

 ゲームと行政はこれまであまり接点がなく、不得手とする分野。eスポーツの大会の開催には民間企業の力が必要不可欠だ。そこで、山口氏は生野区に本社があり、区と包括連携協定を結ぶロート製薬に話を持ち掛けた。

 同社は1年半ほど前からeスポーツに着目。東大卒プロゲーマーのときど氏とスポンサー契約を結んでいる。そこで、今回のイベントではコーディネーター的な立場として、eスポーツで選手のヘルスケア支援などを通じて同社が協業しているデジタルハーツや、eスポーツを手掛ける大阪の老舗スポーツショップ・スポーツタカハシに企画・運営を呼び掛け、生野区とこの民間三社でこのプロジェクトを進めることとなった。

 大会開催に関する費用はロート製薬を中心に、デジタルハーツとスポーツタカハシの三者が負担した。「生野区の子どもたちにeスポーツと出会う機会を作るためということで負担していただきました」(山口区長)。行政の金銭的な出費はなかったものの、官民が適切に自らの役割分担に基づき、自発的に働いており、その部分は可視化できないものの、それぞれが相当程度の役割を担っていた。

 参加者は生野区内の小・中学生51人。Zoomが利用できない環境の人は、配信場所の「eZONe~電脳空間~」(大阪市)から参加できるようにした。

 ゲームの題材を『脱獄ごっこ』にしたのは、「メインのユーザーが小中学生であり、トラブルの原因になりがちなチャット機能もなく、ゲーム内容がシンプルだから」(山口氏)。オンライン対戦アクションゲームで、親世代が子供の頃に遊んだ“泥警”に近いイメージだ。 

 企画したスポーツタカハシ eスポーツ事業部の大川慎一氏によると、「小・中学生の場合、eスポーツの大会に出るのが初めてという人がほとんど。だからこそ、シンプルで、その中で楽しめるゲームを考えた。『脱獄ごっこ』はシンプルゆえに奥が深い。子供たちが自分の頭で考え、チーム内での自分の役割や、場面ごとに自分はどう動いたらいいかを瞬時に判断してもらい、勝利に向けて競いあってもらった」と話す。