自治体と組んでオンラインインターンシップ

 企業が主に大学生を対象に実施するインターンシップも、オンラインに切り替えた企業が多い。リアルな職場を体験することができないという不自由さはあるが、地方企業にとっては大都市圏の学生に訴求するチャンスとなった。

 愛媛県西条市の住友重機械イオンテクノロジー(以下、SMIT)もそのひとつ。同社人事部の廣瀬恭文氏は「オンラインであれば、地方企業も全国の優秀な学生を募ることができる」と、コロナ禍のインターンシップを逆手に取り、学生にアピールできる絶好の機会としてとらえている。同社は西条市と連携、「企業×自治体」によるインターンシップを実施した。

オンラインインターンシップに参加した大学生(提供:住友重機械イオンテクノロジー)
オンラインインターンシップに参加した大学生(提供:住友重機械イオンテクノロジー)
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西条市の玉井市長もプレゼンに出席(提供:西条市)
西条市の玉井市長もプレゼンに出席(提供:西条市)
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 SMITと西条市が実施したインターンシップは、「学生時代を都市部で過ごした若者にIターンUターン就職してもらうには、西条市は何をすべきか。またSMITは市の政策に対してどのように関わることが理想か?」を課題テーマに掲げ、4日間にわたって実施した。4人1チームで課題に取り組み、最終日にはSMITの月原光国社長と西条市の玉井敏久市長を前にプレゼンを行い、最も優秀な提案を西条市が採択、実施に移すという「本気」なものだった。

 参加者は約80名の応募者の中から書類選考で選ばれた16人。北海道から鹿児島までの学生が参加した。毎日午前9時から17時までオンラインで開催。課題テーマ解決に向け、SMITと西条市の業務内容や取り組みを紹介。各チームには西条市を熟知するSMIT社員が「サポーター」としてついた。

 SMIT社員の進行役が市内のキャンプ場から生中継で市の魅力をアピールしたり、市長室から市長が登場したりする工夫も。また、SMITの月原光国社長は自宅からオンライン飲み会に参加するなど、民間と行政が一体となって取り組んだ。

 課題テーマで最も評価が高かったチームの「西条市の企業と暮らしを体験する合同インターンシップを企画し、都市部の大学で単位認定する」という提案は、現在、西条市とSMITが具体化に向けて動き始めている。

 参加者全員には副賞として、交通費から宿泊費までSMITが負担する「リアル工場見学&社員面談付きの一泊二日の西条ツアー招待券」を贈呈。
「地方の企業だからこそ、より強いインパクトを残さないと学生の記憶には残らない。自治体と組み、学生の目を惹くユニークな取り組みができた」(廣瀨氏)。 オンラインインターンシップにかかる事業費はすべてSMITが負担した。カメラなどの備品やZoomの有料アカウント代、参加者へのお土産や希望者のリアル工場見学代の旅費負担分(実施した場合のみ)など約80万円になるという。