農業の担い手不足、指導者不足をデジタルでカバーする

若葉小学校校長の生田目将氏(写真:長坂 邦宏)
若葉小学校校長の生田目将氏(写真:長坂 邦宏)
デジタル農業について感想を述べる6年生たち(写真:長坂 邦宏)
デジタル農業について感想を述べる6年生たち(写真:長坂 邦宏)
NTTアグリテクノロジー代表取締役社長、酒井大雅氏(写真:長坂 邦宏)
NTTアグリテクノロジー代表取締役社長、酒井大雅氏(写真:長坂 邦宏)

 「地産地消であったり、先端技術を使った農業であったり、これまで断片的に学んできたことが今日の取り組みでつながったというイメージが生徒の間では生まれたと思います。今回、丸ごとトマトを提供していただいたのは6年生だけでしたが、後日、5年生もいただけるということなので楽しみにしています」

 若葉小学校校長の生田目将(なまため・まさる)氏がそう語るように、タブレットを用いて机の上で学んだことが実際に目にし口にして、生徒たちは初めて確かな知識として身に付いたはずだ。

 実際、6年生の生徒からはこんな言葉を聞くことができた。

 「今、農業に携わる人が減っていると聞いていたので、日本の技術が生かされていて、すごいなと思いました」「おいしく新鮮なトマトを食べられました。農家の人が減っていっても誰でも栽培できる技術だと思いました」

 生徒たちの言葉には、デジタル技術の実現する力と可能性がうまく要約されている。今回、生徒たちの社会課題やデジタル技術、食育に関する知識は十分に伝わったと言えそうだ。

 ローカル5Gを活用したトマト栽培を行うNTTアグリテクノロジー(東京・新宿)の代表取締役社長、酒井大雅氏は次のように話す。

 「ローカル5Gを活用した新しい農業技術の実証実験は、東京都との取り組みがベースになっています。農業分野の課題は、農業の担い手が不足していることと、それを支援するために技術指導する人も不足していることです。東京というと農業のイメージはあまりないかもしれませんが、大きな消費地であることは間違いありません。東京で農業をやりたい人を支援し、地産地消する。そういう取り組みをいろんなところで広げていきたいと考えています」

 東京都の政策連携団体である公益財団法人東京都農林水産振興財団(東京・立川市)、NTT東日本、NTTアグリテクノロジーの3者は2020年4月、ローカル5Gを活用した最先端農業の実装に向けた連携協定を締結している。連携期間は2020年度から22年度までの3年間。初年度は基礎調査やプロジェクトの立ち上げ準備を行い、2年目の21年度からトマト栽培における遠隔での管理や指導を本格化させた。

 東京都は都政の新しい羅針盤となる「『未来の東京』戦略」を2021年3月に策定した。その中で、「戦略12 稼ぐ東京・イノベーション戦略『東京スマート農林水産業プロジェクト』」を定め、「ローカル5Gを活用した農業技術の開発」を先端的事業のひとつに位置付けている。同プロジェクトのうち「東京型スマート農業プロジェクト」の2021年度予算は2億4900万円となっている。

調布市(ちょうふし)
調布市(ちょうふし)
東京都のほぼ中央に位置し、7市区と隣接する。人口238,087人(2021年4月1日)、21.58km2。新宿まで約20分と交通アクセスがよく、自然豊かな公園も多いことから住宅地としての人気が高い。都心に程近い立地だが面積の約7%は農地となっている。