住民との「井戸端かいぎ」で公園を育てる

 モデル2公園のリニューアルオープンの日、両公園では、町会長から小学生まで参加した、地元住民による「井戸端かいぎ」が開催された。「水鉄砲で水の掛け合いがしたい」「夜に怖い話の会をやりたい」「野菜を育ててみんなで食べたい」――。新しくなった公園で何をしたいかをテーマに、様々な意見が飛び交った。西巣鴨二丁目公園では、地元住民主体で、今後の会議の継続についての話し合いも具体的に進み始めている。

井戸端かいぎの様子(左が上り屋敷公園、右が西巣鴨二丁目公園)。小学生から町会長まで「公園でやりたいこと」を語り合った(写真:2点とも日経BP総研)
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井戸端かいぎの様子(左が上り屋敷公園、右が西巣鴨二丁目公園)。小学生から町会長まで「公園でやりたいこと」を語り合った(写真:2点とも日経BP総研)
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井戸端かいぎの様子(左が上り屋敷公園、右が西巣鴨二丁目公園)。小学生から町会長まで「公園でやりたいこと」を語り合った(写真:2点とも日経BP総研)
出た意見はグラフィック・レコーディング(イラストを多用した議事録)の手法を用いてその場で整理(写真:日経BP総研)
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出た意見はグラフィック・レコーディング(イラストを多用した議事録)の手法を用いてその場で整理(写真:日経BP総研)

 この井戸端かいぎは、リニューアル前から両公園でそれぞれ数回開催され、公園の在り方について検討を進めてきた。主な参加メンバーは地元住民、区の職員、良品計画の担当者だ。

多様な意見を集めるため、平日の夜にも「井戸端かいぎ」を開催した(写真:三上美絵)
多様な意見を集めるため、平日の夜にも「井戸端かいぎ」を開催した(写真:三上美絵)
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 多様な人の意見を聞くため、昼間の公園だけでなく平日の夜、午後7時から池袋駅近くのとしま産業振興プラザ(IKE-Biz)で、上り屋敷公園の井戸端かいぎを開いたこともある。公園周辺の住宅へチラシをポスティングしたりSNSで参加を呼びかけたりした結果、地元の商店主や会社帰りに直行したビジネスマン、主婦、ベビーカーを押した子ども連れの母親、大学生など、狙い通り属性も年齢も様々な人たちが集まった。当日は用意した30席では足りず、区の職員が慌てて椅子を追加するシーンも見られた。

 井戸端かいぎでは、会議開催と併せて、公園を訪れていた人を対象として「どう過ごしたいか」を問う投票を行ったりもしている。投票の結果、公園では「くつろぐ」ことのニーズが高いことが分かった。モデル2公園で採用されたデッキや仕切りのないベンチは、こうした声も反映したものだ。

 最近の公園のベンチは、人が横になれないように一人掛けの幅でひじ掛けを付けているものが多い。だが2公園では、あえて寝そべったりもできるフラットなものを採用している。それで問題が起こったら、また皆で話し合って対処すればよいという判断だ。

上り屋敷公園のシンボルツリーの周囲をでぐるりと囲んだ木製ベンチ。今回モデル2公園に設置したベンチやデッキは、「くつろぐ」ことを重視し、あえて仕切りを付けていない(写真:日経BP総研)
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上り屋敷公園のシンボルツリーの周囲をでぐるりと囲んだ木製ベンチ。今回モデル2公園に設置したベンチやデッキは、「くつろぐ」ことを重視し、あえて仕切りを付けていない(写真:日経BP総研)
リニューアル前のシンボルツリーの根元部分(上り屋敷公園 写真:豊島区)
リニューアル前のシンボルツリーの根元部分(上り屋敷公園 写真:豊島区)
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公園などで一般的に見られる「仕切りがあるので寝そべることができないベンチ」の例(写真:日経BP総研)
公園などで一般的に見られる「仕切りがあるので寝そべることができないベンチ」の例(写真:日経BP総研)
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 住民の声を取り入れて機能を減らした部分もある。上り屋敷公園の木を取り囲む丸いベンチは、当初は小さなステージにもなるような奥行のあるものにするプランだったが、「それはいらない」という住民の声によって、普通サイズの奥行きのベンチになったという。

良品計画ソーシャルグッド事業部の林巧スペースグッド担当課長(写真:北山宏一)
良品計画ソーシャルグッド事業部の林巧スペースグッド担当課長(写真:北山宏一)
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 この井戸端かいぎで、行政と住民の「つなぎ」の役割を果たしたのが、良品計画の担当者たちだ。住民と行政職員が対面すると、どうしても苦情や要望といった対立構造になってしまいがち。そこで、良品計画の担当者がファシリテートする形で会議に加わった。「行政と住民の間に我々が入ることで、前向きな議論がすすめられれば」と、良品計画ソーシャルグッド事業部の林巧スペースグッド担当課長は説明する。

小さな公園をパークトラックが巡回、まずは試運転

 パークトラックは、今回は「試運転」という位置付けだ。例えばカフェとして使用するなら、小さな公園でどの程度売り上げが見込めるのかといった、リアルな場での実証的な検証もさらに積み重ねる必要がある。将来的にはカフェだけでなく遊具やテントなど、公園で使える様々なモノを搭載して小さな公園を回る構想もある。

カフェ店舗として活躍するパークトラック(上り屋敷公園 写真:日経BP総研)
カフェ店舗として活躍するパークトラック(上り屋敷公園 写真:日経BP総研)
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普段のパークトラック。天井を下げ、備品類を収納して移動する(写真:豊島区)
普段のパークトラック。天井を下げ、備品類を収納して移動する(写真:豊島区)
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 公園緑地課の藤井直氏は、「(アイデア段階だが)飲食提供などのサービスを清掃などの管理と抱き合せにできないかと考えている」と語る。小規模な公園の場合、1カ所ごとに指定管理者を設定するわけにはいかないが、飲食サービスの巡回のついでに掃除をしてもらえれば、というわけだ。

 一方で「販売行為をどこまで許すかは慎重に考えるべき。黒船的に地域外からの事業者を入れて、地域の商売をつぶすようなことになってはいけない」(宮田氏)といった懸念もある。「公園の利用率向上や利用者の満足度を上げることを優先するべき。販売は例えば腕試しとして小商いを始めたい地元の人や福祉事業者に限るなど、区としてのポリシーが必要だ」と宮田氏は続ける。