利用されていなかった小規模公園

「小規模公園活用プロジェクト」を立ち上げた豊島区マーケティングコミュニケーション専門監の宮田麻子氏(写真:北山宏一)
「小規模公園活用プロジェクト」を立ち上げた豊島区マーケティングコミュニケーション専門監の宮田麻子氏(写真:北山宏一)
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 豊島区の「小規模公園活用プロジェクト」は、いきなり今回の2公園リニューアルに至ったわけではない。

 「小さな公園に目を向けるべき」という問題意識の下、宮田氏らはまず小規模公園の現地調査を行った。すると、これらの小さな公園はあまり利用されていない実態が明らかになった。その理由について宮田氏は「一番のネックは、禁止事項が多過ぎることではないか」と指摘する。犬の散歩禁止、花火禁止、ボール遊び禁止…。看板に列記された禁止事項をすべて守ると、できることがほとんどないということにもなりかねない。

 管轄する都市整備部公園緑地課としても、小さな公園の維持管理は悩みのタネだった。「小規模公園は住宅に近接していることから、『若者がたむろしてうるさい』などの苦情が多く、迷惑施設とすら思われている面があった。点在しているため管理しづらく、整備する予算も少ない」(同課の藤井氏)。

 もう一度、住民たちに近所の公園を利用者してもらうにはどうすべきか。宮田氏は「住民同士でルール決めをすれば、いろいろなことができるようになる」と考えた。例えば、柔らかいボールなら使ってもよいことにしたり、月に1回だけ花火ができる日を定めたりしたらどうだろう。公園に来たいと思う人は増えるのではないか。

 そんな思いから、区は2017年度に社会実験などソフト面の検討を実施する費用として340万円を予算化し、「小規模公園活用プロジェクト」を立ち上げ、公園ごとに使い方の見直しを開始した。「“〇〇禁止”ではなく、“○○できる”を伝えること目標として」(宮田氏)、いくつかの小さな公園を使ったパイロット事業などを展開していった(豊島区の情報発信サイト「としまスコープ」の「都会の”小さな公園”を楽しむ実験、はじめました。」などを参照のこと)。

 2018年度には、まちづくり事業を手がけるコトラボ(現・パークフル)との協業により、区内164カ所の公園の実態調査を実施(関連記事)。この調査結果などから、上り屋敷公園、西巣鴨二丁目公園をモデル公園として2019年度、モデル公園の整備費として約3000万円を予算化。「小規模公園活用プロジェクト」は本格スタートを切ったのである。

 井戸端かいぎで話し合った内容をもとに、宮田氏らは公園の活用について、次の3つの方向性を打ち出した。

  1. 今あるものを活かし、できることを見出す(施設設備の整備は作りこみすぎず最小限に)
  2. 公園の特性と立地を活かし、地域のための場になるように見直す
  3. 活用の実践と実験を繰り返す

 手探りながらも、住民との直接対話の場づくりに乗り出した豊島区。このプロジェクトは、小規模な公園を数多く抱える他の自治体でも参考になりそうだ。宮田氏は「良品計画の持つ『場をデザインするノウハウ』を蓄積し、区として新たな合意形成の手法を見いだせればと考えている」と熱を込めて語った。

 今後、モデル2公園でどのように「3.活用の実践と実験を繰り返す」のか。そして、この3つのコンセプトを、他の小規模公園にどう展開していくのか。モデル2公園は“小規模”な公園としては広い部類に入る(上り屋敷公園:面積2982.68m2、西巣鴨二丁目公園:面積1357.83m2)。児童遊園のようなもっと小さな公園においては、どんなやり方が考えられるのか。現在進行形のこのプロジェクトに、引き続き注目してきたい。