「メガソーラービジネス」2021年1月1日付の記事より

 内閣府は12月25日、「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」の第2回会合を開催し、農山村地域における再生可能エネルギー推進に関して議論し、「荒廃農地」の再生可能エネルギー事業への利用に関して進展が見られた。

 同タスクフォースは、菅総理大臣による「2050年カーボンニュートラル」宣言を受け、再エネのさらなる大量導入に向け、制約となっている規制や構造的要因を見直し、改革していく目的で河野太郎・行政改革担当大臣の指示で設置したもの。

 テーマになった「荒廃農地」とは、耕作の放棄により、通常の農作業では作物の栽培が困難になっている農地で、全国で約28.4万haに上るとされる。農林水産省は「荒廃農地」を2つに分類し、伐根や整地、客土などにより「再利用可能な荒廃農地」は9.1万ha、森林化するなどで「再生困難な荒廃農地」は19.2万haになると公表している。

「荒廃農地」の定義と面積
(出所:農林水産省)
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 第2回会合では、再エネ導入における農地の有効活用に関し、有識者による委員から要望が出された。主な規制改革の提案は、(1)再生困難な荒廃農地を自動的に「非農地」とする仕組み、(2)再利用可能な荒廃農地を再エネに利用したいとの要望があった場合、その農地を農地に利用するか、再エネに利用するか、迅速に判断する仕組み、(3)農山漁村再エネ法の本格的な運用、新たな目標の設定、(4)営農型太陽光については転用許可(太陽光架台基礎部分の一時転用)を不要にして、単収要件(平均的な単位収量の8割以上を確保)、期間制限(最大10年ごとに更新)などの要件を外す、(5)農地転用手続きの透明化――などが挙げられた。

 こうした提案を受け、会合に出席した農林水産省から、「農山漁村地域における再エネの新たな導入目標を設定する」との方針が示された。同省は、現在、目標値として「再エネの活⽤で農林漁業の発展を目指す地区における再エネ収⼊などの経済規模を2023年までに600億円とする」と掲げている。今後、これを全国の農山漁村にも広げ、新たに供給電力ベースの目標値にして大幅に積み増すとしている。

営農太陽光の転用許可に関しては平行線

 その実現策の1つとして、荒廃農地を活⽤した再エネの導⼊促進と規制を見直すと表明した。具体的には、(1)再⽣困難な荒廃農地の「⾮農地」判断を進める、(2)農⼭漁村再エネ法も活⽤し、営農が見込まれない荒廃農地を再エネ設備に活⽤する、(3)荒廃農地を活⽤した営農型太陽光発電の促進に向けた運⽤を⾒直すーーという方向性を示し、通知などで措置できるものについては、今年度中に対応するとした。

 現在、「農業振興地域」と「第1種農地」は原則として農地転用できないが、農山漁村再エネ法の枠組みを使った場合には、第1種農地のうち、再生困難な荒廃農地などについては、農地転用して再エネに活用できることになっている。

農業振興地域制度と農地転⽤許可制度の概要
(出所:農水省)
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 さらに今回の見直しによって、農山漁村再エネ法の枠組みなどを使うことで、「再利用が可能な荒廃農地」についても、ゾーニングのなかで「再エネ・エリア」となった場合、農地転用によって太陽光や風力発電に活用できる道が出てくる。また、荒廃農地を活用した営農型太陽光については、単収要件を課さない方向性も示された。

 ただ、要望に含まれていた「営農型太陽光については転用許可(太陽光架台基礎部分の一時転用)を不要にする」という要望に関しては、委員と農水省との議論は平行線だった。委員からは「農業レストランなどの農業関連施設は農業従事者の収入を増やす利点から、すでに農転不要になっている。営農型太陽光も農業従事者の収入を増やす点で同じ」という主張に対し、農水省は、「太陽光発電設備は、直接的に農業と関連せず、関連施設には該当しないため、転用許可(太陽光架台基礎部分の一時転用)は必要」との見解を繰り返した。

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