鳥取県は、BTO方式のPFIで新たに整備する鳥取県立美術館について、総合評価一般競争入札で整備・運営事業者の公募を行い、応募3者の中から大和リースを代表とする企業グループを落札者に選定した。落札価格は、142億6598万1372円(消費税を含む)。

隣接する大御堂廃寺跡から見た美術館の外観イメージ(資料:鳥取県)
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 鳥取県立美術館は、鳥取市にある鳥取県立博物館から美術分野を独立させ、県中央部の倉吉市に新たに建設するものだ。多目的ホールと市立図書館などのある倉吉パークスクエアと、国指定史跡の「大御堂廃寺跡」に隣接する場所で、敷地面積は約2万m2、建物面積は9910m2を予定している。事業者が施設を設計・建設し、完成後は県に所有権を移転して、指定管理者として維持管理・運営を行うスキームだ。事業期間は20年。

 県は、「未来を『つくる』美術館」というコンセプトと提示。これに対して、大和リースのグループは、県民が主役のアート活動拠点としての美術館「とっとりアートプレイス」を提案した。建物は地上3階建てで、「ひろま」と呼ぶ吹き抜け空間を中心に、1階に教育・普及、2階に常設展示と収蔵庫、3階に企画展示の各機能を持たせる。

吹き抜け空間「ひろま」のイメージ(資料:鳥取県)
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 具体的には、1階に県民ギャラリー、ワークショップルーム、創作テラス、ホール、キッズルームなどを設け、「えんがわ」と名付けた空間を介して、隣接する大御堂廃寺跡からの連続性を持たせる。ショップやレストランも1階に配置する。2階には5つの常設展示室と収蔵庫、3階には企画展示室と特別展示エリア、研究エリアのほか、大御堂廃寺跡を一望できる展望テラスを設ける。「ひろま」を中心に立体的な回遊性を持たせ、周辺の施設や地区とのつながり、倉吉の自然・風土・景観との調和も意識した構造となっている。

 ソフト面では、無料で自由に入れるスペースも活用し、年間1000以上の様々なプログラムを実施。「ひろま」や「えんがわ」は、パフォーマンスやコンサート、結婚式などにも活用する。また「美術ラーニングセンター」として、学芸員に加えて教育普及担当を配置し、県立美術館としての品格と親しみやすさを両立した展示、ワークショッププログラムを実施。鳥取県の魅力も広く発信していく。特に県が力を入れている漫画をはじめ、広くポップカルチャーについて発信し、独自のインターネットミュージアム、美術館以外の施設やまちづくりとも連携していく考えだ。

 レストランは、「アートコミュニティダイニング」として意欲あるシェフや経営者を募集するほか、県産品も積極的に活用。ショップでは、県内のクリエイターの作品の展示販売なども行う。3年に一度の美術展覧会「トリエンナーレ」の鳥取版、「トッとりエンナーレ」も開催し、美術館から街へとアートを広げていく計画だ。

 グループの構成企業は、代表の大和リースのほか、建設、運営、維持管理などを担う竹中工務店、懸樋工務店、丹青社、アクティオ、三菱電機ビルテクノサービス、セコム、富士綜合警備保障、山陰リネンサプライの各社と、協力企業として参画する槇総合計画事務所の計10社。懸樋工務店と富士綜合警備保障、山陰リネンサプライは、地元の鳥取市の企業だ。

 県は今後、2月上旬をめどに、審査項目や入札参加者ごとの評価点数・講評など、今回の審査結果を公表する。その後は、3月に議決を経て本契約を締結。2020年前半から建設工事に取りかかり、2024年度中の開館を目指す。