神戸大学と日立製作所は2022年1月、両者の共同研究で65歳以上の神戸市民38万人の健康・医療データの解析を開始した。日立が独自開発した「説明可能なAI(人工知能)」技術を用いて解析を、住民一人ひとりの要介護リスクの予測および予測根拠を提示する方法を開発する。2024年度中の要介護リスク個別予測モデルの完成を目指す。

 解析対象となる健康・医療データは、神戸市健康局の「神戸市ヘルスケアデータ連携システム」が記録する医療レセプトデータ(診療報酬明細書)、介護レセプトデータ、特定健診データなど。神戸市は同システムが持つ2015年度から2019年度までの5年間のデータを、個人が特定されないよう匿名化したうえで神戸大学に提供する。神戸大学はこれらのデータを連結し、AIの学習データとして利用する。1人あたりのデータ項目数は約3000という。このとき、希少疾患などから個人が特定されないよう、同じ特徴を持つ人が10人以下のデータは削除する。

要介護リスク個別予測モデル開発の概要(出所:日立製作所)
要介護リスク個別予測モデル開発の概要(出所:日立製作所)
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 健康・医療データの提供にあたっては、保健事業に関係する研究の実施や協力について倫理審査する「神戸市保健事業に係る研究倫理審査委員会」が承認した。神戸市は、神戸大学に対して2024年度まで継続的にデータ提供し、最終的に10年分のデータを提供する予定となっている。

 今回の共同研究では、個人ごとに異なる介護リスク要因の特定に向けた予測性能を検証し、最終的に要介護リスク個別予測モデルの開発を目指す。日立製作所は同モデルについて、神戸市の保健・介護政策づくりでの活用が期待されているとしている。また、データ解析に用いるAI技術には日立独自の「根拠データ管理技術」を使用しており、予測に寄与した根拠データにさかのぼれるため、高い予測精度とその根拠の説明性を両立できるという。