山梨県小菅村は2020年2月中旬から同年9月まで、NTT東日本などと協力して、林業従事者の労働災害抑止、シカなどの獣害対策となるIoT(Internet of Things)活用の実証実験を実施する。小電力で長距離通信が可能なLPWA(Low Power Wide Area)規格を採用し、LPWAの最大出力である250mWの親機1台と中継器4台を用いて、従来は電波の届きにくかった山間部をカバーする無線ネットワークを構築する。

LPWA親機1台と中継器4台で森林部を通信範囲とする(出所:NTT東日本)
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小菅村のSmart Village構想。林業以外へのLPWAネットワーク活用を検討している(出所:NTT東日本)
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 労働災害抑止では、LPWAの通信機能を持つ子機を林業従事者に携帯させて、伐木作業中の倒木事故などで負傷した場合に子機のSOSボタンを押して救助を要請してもらう。子機にはGPS(全地球測位システム)が内蔵されており、救助側は負傷者の位置を素早く特定して救助に向かうことができる。子機にはテキストや位置情報を送受信するチャット機能もあり、携帯電話の圏外となる山間部での業務連絡にも利用できる。

 獣害対策では、新苗への食害をもたらすシカなどを捕獲する罠にLPWA子機を設置する。このLPWA子機には罠の作動を検知するセンサーが内蔵されており、罠が作動した際にあらかじめ指定した連絡先に通知する。これによって、捕獲の早期発見・駆け付けが可能になり、罠を点検する巡回ルートを最適化できる。

 実証実験は、小菅村が実証実験フィールドを提供し、NTT東日本が全体を企画・運営する。このほか、北都留森林組合、鳥獣害対策ベンチャーであるboonboon(山梨県小菅村)、古民家ホテルの開業など村の地方創生総合戦略に携わってきたさとゆめ(東京都千代田区)も実験に参加。北都留森林組合が林業業界の知見提供と労働災害抑止効果の測定、boonboonが獣害対策の知見提供と獣害対策効果の測定、さとゆめが他のユースケースへのLPWA活用検討を担当する。

 小菅村は、今回の実験で構築するLPWAのネットワークを「Smart Village」構想の基盤として、将来は農業や観光など林業以外の産業にも活用して地域の活性化に役立てることを目指しているという。