厚生労働省は1月25日、地域医療連携推進法人の連絡会議を初めて開催、現在設立済みの全7法人が現状を報告した。7法人中5法人が自治体立の医療機関と民間医療機関の両方が参加する「公民連携型」で、医師・看護師など医療従事者の共同研修や医師を中心とする派遣・人事交流などに取り組んでいる状況が明らかになった。

 地域医療連携推進法人は、医療機関の間で機能分担や業務の連携を図り、協調することにより質の高い効率的な地域医療を実現するための選択肢として、厚生労働省が創設した制度。複数の病院などが業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定する。2017年度から認定が始まり、非営利で医療機関の運営や介護事業を行う法人、地方公共団体などが参加できる。

 今回の連絡会議には昨年12月までに設立済みの7法人の代表理事や地元の自治体・医師会などの関係者が出席した。

地域医療連携推進法人の取り組みと課題について、報告と意見交換が行われた(写真:井上俊明)
■表 地域医療連携推進法人7つのプロフィール
認定時期 名称 主な連携推進区域 主な参加施設
2017年4月 尾三会 名古屋市の一部、愛知県岡崎市、西尾市、豊川市、豊明市など 藤田医科大学病院をはじめ約30の病院、診療所、特別養護老人ホームなど
*はりま姫路総合医療センター整備推進機構 兵庫県姫路市、相生市など 兵庫県立姫路循環器病センター、社会医療法人製鉄記念広畑病院
*備北メディカルネットワーク 広島県三次市、庄原市 三次市立三次中央病院、三次地区医師会立三次地区医療センター、総合病院 庄原赤十字病院、庄原市立西城市民病院
*アンマ 鹿児島県大島郡瀬戸内町、宇検村 瀬戸内町へき地診療所、宇検村国民健康保険宇検診療所、医療法人馨和会いづはら医院、奄美医療生活協同組合南大島診療所など
2018年4月 *日本海ヘルスケアネット 山形県酒田市、鶴岡市、飽海郡遊佐町など 地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院、医療法人健友会 本間病院、社会福祉法人光風会 特別養護老人ホームなど
医療戦略研究所 福島県いわき市 医療法人社団正風会 石井脳神経外科・眼科病院、同介護老人保健施設、社団医療法人容雅会 中村病院、医療法人社団 木田医院など
2018年12月 *房総メディカルアライアンス 千葉県南房総市、館山市、鴨川市など 南房総市 富山国保病院、社会福祉法人太陽会 安房地域医療センター
*は公民連携型の地域医療連携推進法人。厚生労働省の資料をもとに作成

 7法人のうち、はりま姫路総合医療センター整備推進機構、備北メディカルネットワーク、アンマ、日本海ヘルスケアネット、房総メディカルアライアンスの5法人は、県立または市町村立(地方独立行政法人を含む)の病院・診療所および、民間の医療機関・介護施設がともに連携推進法人に参加し、「公民連携」の担い手となっている。そのうち備北メディカルネットワークと日本海ヘルスケアネットでは、自治体病院のトップが代表理事に就任している。

 業務については、医師および看護師、事務職員などの共同研修を6法人が実施。参加病院のニーズが高い人材確保については、医師の派遣や人事交流を4法人が、看護師については3法人がそれぞれ手がけている。一方、病床の移動や機能転換はこれからの課題となっている。

 連携推進法人のメリットについて、公民連携型の法人からは、「患者紹介などの情報交換を超えて、医師の勤務、訪問看護ステーションの開設、薬剤の購入など経営にかかわることも話し合いの対象となってきている」(アンマ)、「設立母体の異なる医療機関が一体化し、地域の医療構想の実現が容易になった。大型医療機器や保守契約の価格交渉で優位となり、交渉の窓口を一元化できた」(備北メディカルネットワーク)などが挙がった。

 一方、電子カルテの統一化や薬剤の共同購入を実施できておらず、参加法人の期待に応えられていないという声や、介護スタッフ確保のために行っている人材の養成が、大きな赤字をもたらしているという声もあった。

 今回参加した7法人のうち、房総メディカルアライアンスはまだ具体的な事業を始めていないなど、連携推進法人の事業の本格化はこれからだ。連絡会議の最後に挨拶した厚生労働省医政局・医療経営支援課の担当官は、「それぞれの法人・地域で様々な問題を抱えていることが分かった。特に介護人材の確保は全国共通の課題とみられる。本日の意見を率直に受け止めてよりよい連携推進法人にしていきたい」と締めくくった。