広島県福山市は、JR福山駅の駅前広場について、「福山駅前広場の各機能の配置計画案(素案)」を公表し、素案に対する意見を2022年3月下旬まで募集している。同市は、福山駅の駅前広場と駅周辺を一体的にウオーカブルな空間に変えていく取り組みを進めており、その議論のたたき台とするのが目的だ。

福山駅前広場の位置(資料:福山市)
福山駅前広場の位置(資料:福山市)
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福山駅北口広場の位置(資料:福山市)
福山駅北口広場の位置(資料:福山市)
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 対象となるのは、駅南側にある「福山駅前広場」(約1万4000m2)と、駅北側にあり福山城址公園と隣接する「福山駅北口広場」(約6000m2)の2カ所。福山駅前広場は立体的な形状となっており、地下部分に送迎用車両の乗降場や駐車場がある。また、両広場がある駅の南側と北側は、連続性が乏しい状況にある。

 素案では両広場について、(1)広場機能の規模と配置場所、(2)鉄道からタクシー、バス、一般車両へと乗り継ぐ交通結節機能の規模と配置場所、(3)車両と歩行者の動線、(4)立体利用の条件――の4点について検討。主な問題点として、福山駅前広場については、広場機能の部分が狭く交流機能が不十分であること、東西方向の横断がしにくいこと、タクシーやバスの乗降場の空間が効率的に活用されていないことなどが挙がっている。一方、福山駅北口広場では、施設全体の老朽化のほか、駅への送迎車両の違法駐車などによる通行の支障が問題となっている。

 市は、これらの課題を解決する方向で素案を作成した。素案のポイントは、東西に長いJR福山駅の特性を生かしつつ、駅の南北にある広場を一体的に検討することで、交通結節機能を十分に発揮させることだ。加えて、新たな交流軸の創出によって南北の空間を一体的なものとし、歴史や自然があふれる備後圏域の玄関口にふさわしいウオーカブルな空間にすることを狙う。

 具体的には、福山駅前広場についてはバスやタクシーの乗降場を東西に適正に配置することで、交通利便性と広場機能の面積を確保。駅前大通りは道路幅を縮小し、生まれた空間を広場機能やバス・タクシーの待機場に活用する。福山駅北口広場は、福山城の歴史的資源を生かしつつ、備後地域へ玄関口機能と送迎機能を配置する。

 これらによって、広場空間が飲食や買い物を楽しみ、散歩や休憩もできる場となるのに加え、地上での東西間の移動も可能となるとしている。福山駅前広場の交差点はコンパクトになり、新幹線の改札口とタクシーの乗降場も近くなる予定だ。一方、広場内を一般車が通過することによる歩行者の安全性といった交通面での課題や、広場空間の運営・管理方法などについては、今後の検討事項とした。

 なお、市は意見募集に当たり、駅周辺エリアを含めた都市全体の改善、駅前と駅周辺のつなぎ方、公共施設と民間施設の一体的な活用、デジタルテクノロジーの革新や新しい生活様式への柔軟な対応――といった視点を重視するとしている。

 福山市では2022年度に基本方針、2023年度に基本計画を策定する予定。基本方針は、福山駅前広場協議会や福山駅前広場デザインシンポジウムなどでの意見も踏まえながら作成していく考えだ。