福島県郡山市は、旧郡山市立大田小学校を活用する民間事業者を公募した結果、ICT(情報通信技術)を用いた学校向け教育サービスや機器の実証実験場としての活用を提案したウェブレッジ(福島県郡山市)を優先交渉権者に決定した。応募者は同社のみ。

 ウェブレッジは、主にICTサービス・機器の品質テストや評価および、品質向上を支援する地元企業。同社は、旧大田小学校の施設を「WR smart School Test Field」と名づけて、ICTを用いた学校向け教育サービス・機器の実証実験場として活用することを郡山市に提案した。

 具体的には電子黒板やVR(仮想現実)教材、AR(拡張現実)教材、通信教育、学習用タブレットなどの実証実験を行う。カメラセンサーによる定量的空間情報(位置指標など)の変化量と、適正化指標(体温・心拍数などのバイタル指標など)に基づいて、学習に最適な環境やコンテンツを実証的に検討する。教室、校庭、体育館、プールなど、実際の学校の環境を使うことができるため、精度の高いデータを取得できる。

 さらに、実証実験場として活用するだけでなく、コワーキングスペース、オフィススペース、セミナーや展示会の開催施設、宿泊施設などとしての活用も視野に入れているという。ウェブレッジの担当者は、「教育関連企業からサービスや機器のテストに関する相談が増え、EdTech(エドテック、教育とテクノロジーを融合させたビジネス領域)分野の強化を考えていたところ今回の公募の件を知り、応募した」と提案の経緯を説明する。

■ウェブレッジが提案した内容
計画する施設名称 WR smart School Test Field
計画する施設の用途 1. 学校テストフィールドとして活用
2. コワーキングスペース、オフィススペース、宿泊施設として活用
3. 交流会、セミナー、展示会の開催
4. 社内外の利用者を対象としたカフェ・交流スペースの運営
5. テストラボとしての活用 他
活用事業の概要・コンセプト ・学校向けICT教育サービスのプレ実証実験を目的とした「smartSchool Test Field(学校テストフィールド、以下「STF」)」を構築する。

・STFは、カメラセンサーなどによる定量的空間情報(位置指標・環境指標など)の変化量と適正化指標(バイタル指標など)に基づいて、「学習に最適な環境やコンテンツ」の実証実験を行うためのテストフィールド。

・EdTech事業者は、教室型、校庭型、体育館型、プール型、そして学校全体のリアルな環境を有するSTFで実証実験を行い、実際の学校教育現場に近い実証データを取得することができる。
主たる業務内容 1. 各種テストフィールドの提供
2. テスト業務全般(受託型)
3. データ取得、分析、解析
4. ユーザー調査及びUI/UXコンサルティング
5. 統合開発環境の提供
6. オフィス、ラボ、スタジオ等、スペースのレンタル
7. テスト用端末、テスト機材のレンタル
8. 産官学連携支援
旧郡山市立大田小学校(写真:郡山市)

 旧郡山市立大田小学校は2018年3月31日に廃校となった。校舎は1996年竣工で、2018年10月より活用事業者を公募していた。敷地面積は約1万3250m2。

 今後は郡山市とウェブレッジの間で基本協定を結び、協議・調整の末、市議会の議決を待つ。その後、4月以降に賃貸借契約を結び、正式な引き渡しとなる。ただし郡山市の希望賃料は月額39万6000円であるのに対し、ウェブレッジの提示額は同15万円であるため、郡山市議会が否決する可能性もある。その場合は、ウェブレッジは優先交渉権者の立場を失い、郡山市は活用事業者を再度募集することになる。

 今回の契約が決まった場合、「新たな教育技術の発展や雇用創出、さらには地域振興などに寄与することを期待している」と、郡山市の担当者は話す。