滋賀県彦根市は、市が管理する市営住宅と改良住宅の中長期的な維持管理方針を示した「彦根市公営住宅等長寿命化計画(改定)(素案)」を公表。この中で、同市開出今町にある最大規模の市営団地「開出今団地」の建て替えを検討する方針を示した。PFI事業とする可能性も視野に入れている。

彦根市公営住宅等長寿命化計画(改定)(素案)に示された団地ごとの事業手法(資料:彦根市)
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 市は、2010年3月に策定した「彦根市公営住宅等長寿命化計画」の計画期間が2020年度末で終了することに伴い、今回の素案を策定した。2016年8月に国から「公営住宅等長寿命化計画策定指針(改定)」が示されており、この新指針に即した改定版となる。

 今回の計画期間は、2021年度から2030年度までの10年間だ。開出今団地の建て替え工事は2031年度以降に着手する見込みで、本計画期間中は、主に前半の5年間で地域におけるまちづくり構想の検討を、後半の5年間でPFI事業の導入も視野に入れた事業スキームの検討を行う。事業用地確保のための空き家化と順次の除却も計画期間中に進めていく。

 まちづくり構想は、同団地における市営住宅の供給の在り方、多面的な敷地活用や地域に必要な施設の導入、県営住宅との連携などを考慮して、同団地を含む地域のまちづくり構想を検討するものだ。その後、構想を踏まえて事業の実施可能性や、民間資本の導入も含めた事業スキームを検討し、必要な調査を経て、本計画期間内に建て替え事業の基本計画を策定することを目指す。

 素案によると、2020年4月1日現在、市が管理している公営住宅等の戸数は市営住宅が24団地・578戸、改良住宅が3団地・112戸の計690戸。このうち約3分の2が1970年代以前に建設された住宅だ。2019年度末時点で法定耐用年数を経過している住宅は41%に上り、今後も当面は建て替えや用途廃止を行わない場合、計画が終了する2030年度末には59%が法定耐用年数を経過している見込みだ。

 市は、これら690戸のストックについて、社会的特性(団地の需要、敷地の効率性、団地の立地)や物理的特性(安全性、居住性、高齢化対応、経年劣化)などに基づいて、管理方針や改善の必要性を判定し、今後の取り扱いを「建て替え」「用途廃止」「改善」「維持管理」の4つに区分けしている。

 判定の結果、2021年度から2030年度の計画期間中に建て替えを検討するのは前述の開出今団地(35棟、156戸、ただし2020年度中に14戸を除却)のみ。用途廃止とするのは稲枝西(旧)、甲田、正法寺の3団地。改善工事を行うのは広野第1、中島、中薮、堀、岡町の各団地。改善工事にかかる費用の総額は約7億円と見込んでいる。このほかの団地は維持管理に区分された。これらの結果、2030年度末における市の管理戸数は631戸となる見込みだ。

 市は現在、この素案に対する意見を募集している。所定の意見提出用紙にて電子メール、ファクス、郵送で提出する。受け付けは3月2日まで。