「メガソーラービジネス」2021年2月22日付の記事より

 経済産業省は2月16日に有識者会議を開催し、電力市場の高騰を踏まえた固定価格買取制度(FIT)上の制度的な対応などに関して討議した。そのなかで、市場高騰に伴って送配電事業者に生じた収支余剰はFIT賦課金の国民負担軽減に充てるとともに、FITの特定卸供給を利用する小売電気事業者に対し、電気の料金支払いを猶予するとした。

 FITでは、送配電事業者が再生可能エネルギー事業者から、事前に決められた買取価格(調達価格)で電気を買い取り、卸電力市場(JEPX)に市場価格で売却する。想定上、買取価格は市場価格より高いため、その差額は国民から徴収した賦課金で補填する。

 こうしたなか、昨年12月から今年1月にかけて起きた電力市場価格の高騰により、逆に市場価格が買取価格より大幅に高くなったため、送配電事業者には多額の収支余剰が蓄積されている。実は、こうした場合に備え、法改正により、2022年4月以降は収支余剰を国に納付して賦課金の軽減に充てることが決まっている。

卸市場価格状況(スポット市場システムプライスの推移)
(出所:経産省)
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 今回の有識者会議では、こうした2022年4月以降の収支余剰の取り扱いを今冬の市場高騰にも遡及させることの是非が討議された。事務局(経産省)は、「FIT本来の趣旨を考えれば、遡及させるのが適用」と提案し、委員から概ね賛同を得た。

地域新電力に資金支援はせず

 また、FITでは、「特定卸供給」の制度により、小売電気事業者が特定の再エネ事業者から電気(FIT電気)を調達できる。この仕組みでは、卸料金は市場価格になるため、今回の市場価格高騰により、同制度を利用した小売事業者は、高額な料金支払いを余儀なくされ、資金繰りが悪化しかねない状況になっている。特に、FIT電気を積極的に活用してエネルギーの地産地消を目指している地域新電力の多くが、苦境に陥ることが懸念されている。

 そこで、経産省は、特定卸供給に伴う小売電気事業者の料金支払いに関して、猶予措置を講じるとした。2月15日以降に支払期日が到来する最初の1カ月の再エネ卸供給料金を対象として、一律に支払期日が4月15日まで延長され、さらに、事業者が一定の要件を満たせば、最長7月15日まで支払期日が延長されるとしている。

支払期日の猶予イメージ
(出所:経産省)
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 特定卸供給の利用で苦境に陥っている小売電気事業者に対しては、送配電事業者に生じた収支余剰を使って救済すべきという意見もあったが、「FIT制度は、発電事業者の再エネ投資を国民負担で支える制度であり、小売電気事業者の再エネ電気の調達を国民負担で支えることは目的ではない」との事務局の考え方を支持する委員が大勢を占めた。

 これにより、地域新電力など「FIT電気」を多く調達している小売電気事業者は、独自に支援者を探して増資するなど、独力での資金確保を迫られることになる。

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