のるーと塩尻の車両(出所:塩尻市)
のるーと塩尻の車両(出所:塩尻市)
[画像のクリックで拡大表示]
スマートフォンアプリの画面(出所:塩尻市)
スマートフォンアプリの画面(出所:塩尻市)
[画像のクリックで拡大表示]
今後の実証運行スケジュール(出所:塩尻市)
今後の実証運行スケジュール(出所:塩尻市)
[画像のクリックで拡大表示]
塩尻市の交通網の将来イメージ(出所:塩尻市)
塩尻市の交通網の将来イメージ(出所:塩尻市)
[画像のクリックで拡大表示]

 長野県塩尻市は、2020年から実証運行を行っていたAI(人工知能)活用型オンデマンドバス「のるーと塩尻」(関連記事)について、4月1日から正式運行を開始する。従来のコミュニティバスとAI活用型オンデマンドバスを組み合わせることで効率的な交通網の構築を目指す。

 同市では、1999年から民間委託によるコミュニティバス「すてっぷくん」10路線を運行しているが、利用者ニーズの多様化に伴う需給のミスマッチなどにより利用者数が減少している。また、事業者側も、乗務員の高齢化による担い手不足が深刻化し、サービス持続性の低下が課題となっていた。

 のるーと塩尻は、乗りたいときにスマートフォンアプリや電話から呼べる新しい乗合バスサービスになる。決まったダイヤや経路はなく、AIを活用して利用者の予約状況に応じて、その都度経路を設定しながら運行する。AIが利用データを蓄積・学習することで効率的な運行が可能で、待ち時間や移動時間の短縮が期待される。また、普通二種免許で運転できるため、乗務員採用の裾野が広がり担い手不足の解消にもつながる。

 2020年度に実施した実証運行では、1カ月で目標を上回る2410人の利用があり、利用者アンケートでは約8割が高い満足度を示した。2021年度は、塩尻駅を中心とした10km2の運行エリア内に、人口密度が高いエリアや観光拠点、商業施設など111カ所にミーティングポイントを設置し、大人1回200円の有償運行を実施した。

 さらに、利用率向上に向けたマーケティング活動を実施。高齢者が集う集会への訪問、学校や企業に向けたメルマガ配信、住民説明会や車両展示イベントの開催など、ターゲットを整理しながらPRした結果、利用率も増加し1日あたり40人の目標を大きく上回る状況になった。

 今回の正式運行では、これまで同エリアを運行していたコミュニティバス「中心市街地循環線」を代替する。2022年度以降も、年次ごとに約半年間の実証運行を繰り返しながら、市街地ゾーンの6路線について順次オンデマンドバスへの置き換えを検討していく。一方、市街地と既存集落区域をつなぐ4路線は引き続きコミュニティバスを運行する。

 のるーと塩尻の事業主体は一般財団法人塩尻市振興公社。車両運行はアルピコタクシー(長野県松本市)、AI活用オンデマンドバスのプロジェクトマネジメントおよびオペレーションはネクスト・モビリティ(福岡市)が担当する。塩尻市が負担する運営費用は、2021年度の実証運行が約4000万円。2022年度は、正式運行に約4000万円、新たな路線の実証運行に約2000万円を予算計上する予定。

 また、塩尻市では、AI型オンデマンドバス単体のサービスで完結するのではなく、他の地域モビリティと組み合わせた「塩尻型MaaS」の構築を官民連携体制で推進する。全国に横展開可能な官民連携のサービスモデルを構築することで、日本全国の中山間地域における交通課題の解決に寄与することを目指す。

 今後、MaaS事業を松本市まで拡大した「広域医療連携MaaS実証事業」を行う計画。塩尻市からの通院を想定し、両市の公共交通機関であるオンデマンドバス・鉄道・バスを組み合わせて松本市内の総合病院(信州大学医学部附属病院、相澤病院、まつもと医療センター)までの移動を確保できるかを実験する。