2019年度予算案は、年度内に成立する見通しだ。この予算案のうち、公民連携に関連する事業を3回に分けて解説する。第2弾は、国土交通省の地域づくりに関連する事業を見ていく。同省は、コンパクトシティ推進や地域公共交通ネットワークの実現に取り組んでおり、その具体的な施策を紹介する。

 まずは、地域づくりに関して、国土交通省が挙げている取り組みを紹介する。

■コンパクトシティの推進:179億円(前年度予算比1.03倍)

 国交省は、都市機能の誘導・集約や持続可能な地域公共交通ネットワークなどの実現による「コンパクト・プラス・ネットワーク」を推進している。

 「コンパクト・プラス・ネットワーク」は、居住や都市機能の集積による「密度の経済」の発揮によって、住民の生活利便性の維持・向上、地域経済の活性化につなげる施策だ。この取り組みは拡大しており、2018年5月1日現在で、約400都市が居住や都市機能の集約を目的とした立地適正化計画の作成に取り組み、161都市が計画を公表済みだ(このうち、地域公共交通網形成計画公表は97都市)。国交省は、優れた取り組みを行っている都市をモデル都市として選定し、横展開を図っている。

 モデル都市の一つである長野県松本市では、まちなかの歩行者数の増加などを目標として、公共交通の再編や、まちなかへの自動車流入の抑制による松本城周辺の回遊性向上などに取り組んでいる。「住む人」と「訪れる人」にとって魅力と活力にあふれる都市の実現を目指している。

長野県松本市におけるコンパクト・プラス・ネットワークの事例(資料:国土交通省)
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■持続可能な地域公共交通ネットワーク等の実現:255億円(同1.07倍)

 近年の交通・物流分野において、過疎地域ではそのサービスの維持確保が困難な状況にあり、大都市圏では道路混雑やドライバー不足など、様々な問題が生じている。

 一方で、ICT(情報通信技術)、自動運転などの技術開発や貨客混載の分野連携が進展するとともに、「移動」を単なる手段の提供としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉えるMaaS(Mobility as a Service)の概念が生まれ、様々な問題を解決する可能性のある取り組みが民間主導で進んでいる。都市・地方における効率的で利便性が高い交通・物流の実現に向け、地域特性を踏まえたモデル構築や運行情報のオープンデータを活用した基盤構築、ICTをはじめとする新技術を活用した輸送効率化に向けた取り組みなど、新しいモビリティ・サービスの推進を図っていく。

MaaS(Mobility as a Service)など新たなサービスのイメージ(資料:国土交通省)
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■地域資源を活かしたまちづくりの推進:293億円(同1.07倍)

 地域の歴史・景観、緑地、農地などの地域資源を活かした魅力あるまちづくりを推進する。具体的な項目は以下の通りだ。

  • ・歴史文化資源や景観等を活用したまちづくりに対する支援の強化
  • ・明治立憲政治の確立等の業績を後世に伝える明治記念大磯邸園の整備の推進
  • ・国営公園における観光拠点整備や体験プログラムの展開等によるストック活用の推進
  • ・都市の緑地や農地を活かした魅力あるまちづくりの推進
  • ・豊かな自然や美しい風景を活かした魅力ある水辺空間形成(かわまちづくり)の推進
  • ・河川を軸とした生態系ネットワークの構築によるまちづくりの推進
  • ・地域活性化に資する下水道の未普及対策やリノベーション等の取り組みの推進